止まらぬ涙。「伶颯は最後まで信じてくれたのに...」仙台内定の日章学園MF南創太が自責の念。“神様の試練”を受け止め「次は自分があいつを励ます側になりたい」【選手権】

2024年12月31日 松尾祐希

話している最中に再び涙腺が崩壊

最後まで懸命に戦い抜いた南。目に見える結果は出せなかったが、抜群の突破力で何度も見せ場を作った。写真:田中研治(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権・2回戦]矢板中央(栃木)2-1 日章学園(宮崎)/12月31日/フクダ電子アリーナ

 何度、振り返っても結果は変わらない。試合後も涙が止まらなかった。

 12月31日に行なわれた高校サッカー選手権の2回戦。日章学園は矢板中央と対戦。先手を取られ、サウサンプトン加入内定FW高岡伶颯のゴールで追いついて前半を終えたが、後半に勝ち越し点を奪われ1-2で敗れた。

 試合後、スタンドに挨拶へ向かった高岡は涙を流していたが、それ以上に目を真っ赤にして泣いていた選手がいる。高岡とともにチームを牽引してきたMF南創太だ。

 卒業後はJ2仙台でプレーする今大会屈指のドリブラーは右サイドハーフで先発すると、自慢の突破力で相手を翻弄。ボールを晒すような独特の持ち方で運び、カットインや縦突破をうまく使い分けながら好機に絡んでいく。

 得意の左足も冴え、強烈な一撃で相手GKを何度も慌てさせた。しかし、1点が遠く、ゴールが奪えない。前半10分に放った強烈な左足のショットはポストを叩いた。後半11分には高岡からラストパスを受けて右足で狙ったが、枠を捉え切れない。

 最後までゴールを目ざしたものの無得点。目標としていた日本一は果たせず、高校サッカーに別れを告げた。
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 試合後、ミックスゾーンに姿を見せた南は、話している最中に再び涙腺が崩壊。自分を責めるように、ただひたすら自らのプレーに対する反省を口にした。

「(12月初旬の)プレミアリーグ参入戦でもそうだったけど、自分の質が低くて、チームに迷惑をかけてしまった。参入戦から3週間くらい開いて、必死にやってきた成果を出そうとしたんですけど...。最後の大会だから、これでもかってやってきたのに、結果がついてこなかった。もっとやるしかない。

 神様の試練というか...。今日の結果を受け止めないといけない。シュートは打っても入らないし、クロスを上げてもディフェンダーに引っかかるし。今はまだ整理がつかないけど、プロに入るのでもっと練習して、質を高めたうえで上のステージに挑戦したい」

 思い描いた結果は残せなかったが、3年間で大きな成長を遂げたのは間違いない。テクニカルなスタイルに定評がある強豪校のセレクションで不合格を突きつけられ、土壇場で決まった日章学園へ進学。当初は線の細さが目立ち、当たり負けをして持ち前の技術力は発揮できなかった。

 それでもフィジカルを鍛え、昨夏にレギュラーに定着。そこから飛ぶ鳥を落とす勢いで力を付け、声価を高めて仙台入りを勝ち取った。

 そして、ライバルであり、最高の友である高岡と出会えたことは何よりの財産だ。盟友に対し、南は申し訳ない気持ちを述べながら想いを口にした。

「試合中も伶颯は自分のミスに対しても怒ることなく、ニコニコしていた。大丈夫って声をかけてくれて、伶颯は最後まで自分を信じてくれたのに、自分は期待に応えられなかった。このレベルで自分がプロに行っていいのかって思ってしまうけど、いつかまた絶対に同じピッチに立ちたい。次は自分があいつを励ます側になりたいし。追いつけ、追い越せのつもりでやっていく。あいつは世界の舞台に立つけど、自分は日本からのスタート。誰も止められないくらいの質を求めて、取り組んでいきたい」

 矢板中央戦の悔しさはきっと忘れない。胸に刻み、次のステージでさらなる飛躍を遂げるための糧にする。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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