清武の獲得は、敏腕SD“モンチ”の肝煎り。地元セビリアから懐疑的な声は一切聞こえてこない

2016年06月14日 山本美智子

絶大な信頼を得る"モンチ"。清武獲得は、彼の個人的な賭けだ。

セビージャは清武との契約期間を4年と発表。メディカルチェック後に正式にサインされる。(C)Getty Images

 スペインリーグ1部のセビージャが、日本代表MFの清武弘嗣を獲得したと発表した。クラブによれば、メディカルチェックが済んだ後、4年契約にサインされるとのことだ。セビージャにとっては、指宿洋史に継ぐ2番目の日本人選手獲得になる。
 
 今回の清武の獲得は、"モンチ"の通称で知られているセビージャのスポーツディレクター(強化担当)、ラモン・ロドリゲス・ベルデホの個人的な賭けだと言われている。
 
 そのため、地元からは清武が「セビージャにフィットするのか?」「清武の実力のほどは?」などといった、獲得に対する疑問の声はまったく聞こえて来ない。これは、スペイン人が清武を知っているからではない。モンチへの信頼が絶大なものだからだ。
 
 モンチは間違いなく、スペインリーグの中で最もその実力が評価されている強化担当である。セビージャが達成した前人未到のEL3連覇なども、モンチの功労があってこそだと誰もが認めている。
 
 レアル・マドリーやバルセロナはもちろん、欧州のビッグクラブが、モンチ自身の獲得を狙って、毎年、再三のオファーを出しており、実際、5月中にはモンチが『セビージャを離れることになった』とのニュースが流れ、周囲が騒然となった。
 
 しかし、モンチ本人が、メディアの前に新獲得選手のパブロ・サラビアとともにリラックスした様子で現われただけでなく、個人のインスタグラムに「もう、これ以上できないと思う時に継続することが、他との一線を画すのだ」とのメッセージを掲載。
 
 さらに、クラブのオフィシャルラジオを通じて「私は強化担当である前に、セビジスタ(セビージャサポーター)だ」と話し、「私がセビージャを離れる時は、違約金を払って出て行くようなことはしない。常に正面から向かい合う」と、きっぱりとその噂を否定してみせた。
 
 そんなモンチを味方につけているセビージャは、育てて、あるいは、有望株を安く買って高く売るのを得意としているクラブだ。
 
 過去にはダニエウ・アウベスやイバン・ラキティッチをバルセロナへ、ジュリオ・バチスタをレアル・マドリーへ売却し、多額の利益を得た。これらの"取引"は敏腕SDの仕事の一部である。

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