【川崎】勝利に酔いしれない大久保。「パスを出してくれ」と厳しく要求

2016年06月12日 サッカーダイジェスト編集部

「ノボリには『俺が出したようなパスを俺に出せよ』というメッセージでした」

川崎の1点リードで迎えた79分、小林が獲得したPKを決めた大久保。今季10ゴール目を決めて勝利に貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 27分にE・ネットの一撃で先制した川崎は、終盤、中村の絶妙なパスを受けた小林がエリア内で倒されてPKを獲得。すぐさまボールを拾い上げたのは、PKを獲得した小林ではなく、エースの大久保だった。

【横浜0-2川崎 PHOTO】E・ネット、大久保のゴールで川崎が快勝
 
「疲れていたので、まずは水を飲もうと」。ボールを手放さずにセットし、ゆっくりと助走に入る。「PKは自信がある」と語ったとおり、ゴール右上に叩き込んだ。
 
「キーパーの動きをしっかり見て蹴れた。(GKが)動いてくれた瞬間に『よっしゃ』と。蹴った瞬間に入ったと思った」
 
 試合後、中村は「結果がすべて。終わってみれば2-0だから。欲を言えば3、4点目を取りたかったけど、すごく落ち着いていた」と総括。大久保も「とにかく勝てたのが一番」と安堵の様子を見せた一方、さらなる高みを見据えて、チームメイトへの要求も忘れない。
 
「最後のところで、自分が引いて空けて、ゴール前に飛び込んだ時に、ミスが多くて自分のところまで届かない。安パイでもいいから、パスを出して来ればどうにかする。だけど、出てこないからもったいない。DFを引き付けて、パス出していくと、自分の消耗も激しい」
 
 横浜戦での大久保は、中盤に下がる機会が多く、パサーとして存在感を発揮。前半終了間際には低い弾道のパスを小林に通して好機を演出すると、後半早々にはピンポイントパスを登里に供給し、ゴールチャンスを作り出した。「ノボリには『俺が出したようなパスを俺に出せよ』というメッセージでした」と語る。
 
 実際、パスが思うように届かない場面は少なくなかった。時折、大久保は声を張り上げて全身で悔しさを露わにするなど、フラストレーションを溜めながらプレー。そうした心理状態も重なり、PK獲得の際にボールを手放さなかった。

次ページ「もったいないなと思いながらやっていました」と語った真意。

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