金田喜稔がボスニア・ヘルツェゴビナ戦を斬る!「球際で競り負けるシーンがあまりにも多すぎた」

2016年06月08日 サッカーダイジェスト編集部

「吉田の対応はすべてが中途半端だった」

終盤の猛攻実らずボスニアに逆転負け……。ブルガリア戦で2ゴールの吉田は、2失点に絡むなど安定感を欠いた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 第1戦目のブルガリアとは違い、ボスニア・ヘルツェゴビナはエースのエディン・ジェコ、ミラレム・ピアニッチら欧州主要リーグで活躍する主力数人を欠きながらも、組織力があり、個の能力もある程度高く非常にポテンシャルのあるチームだった。とはいえ、負けたことは看過できない。

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 なにより気になったのは守備の出来だ。宇佐美貴史の突破から清武弘嗣が先制点を決めたにもかかわらず、その直後に失点を喰らってしまったのは頂けない。特に、この試合で2失点に絡んでしまった吉田麻也の対応には、誰もが不安を覚えてしまったのではないか。
 
 吉田は、オフサイドトラップを仕掛けつつ、人に付いていくプレーもしていたけれど、正直どちらも中途半端だった。そうではなく、まずはしっかり敵のマークを逃さないことを第一に心掛けるべきだ。
 
 そのうえで、森重真人や長友佑都、酒井高徳と連係しながらセカンドボールへの対応をしっかり留意してプレーしていれば、一本の縦パスからあんなに簡単にやられずに済んだに違いない。
 
 個人的には、オフサイドを取るために必要以上にラインコントロールを気に掛けるべきではないと思うが、そのあたりをどうするのか。今後に向け、守備面での決め事をしっかり整理しておかないと、アジア最終予選でも同じ轍を踏んでしまいかねない。
 
 そうした守備面のパフォーマンスに加え、もうひとつ気掛かりなのは、球際の局面で簡単に競り負けていたシーンがあまりにも多かったこと。
 
 フィジカルについては、ハリルホジッチ監督も試合後会見で苦言を呈していたようだが、局面でのプレーはまだまだ軽い。相手の圧力に屈して簡単にゴール前に侵入を許していた場面を見る限り、ワールドカップでベスト8を狙うのもこのままでは厳しい。
 
 普段から厳しい環境に身を置ける欧州組はまだしも、国内組が逞しく成長できるのか不安になる。もちろん、個々が意識を高めないといけないが、本気で世界との差を縮めたいと思っているのなら、Jリーグの強化を真剣に検討すべきだと改めて感じさせられた。

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