【川崎】好機を外し続けた大久保。「入らん日もある…でも良かった、勝って」と安堵

2016年05月30日

「エウソンにパスを出した時は、『頼む、決めてくれ』という一心だった」

両チーム最多となるシュート5本を放った大久保(13番)だが、この日はツキに見放された。写真:サッカーダイジェスト写真部

 チャンス3回――この日、大久保嘉人に訪れたゴールの機会だ。
 
 開始7分、エドゥアルド・ネットのスルーパスに抜け出してGKと1対1の場面を迎えたが、巧みにコースを消されて阻止される。61分には、CKの流れからゴール3メートル程度の位置でシュートを放つも枠を捉え切れず。そして75分、中村とのワンツーで突破した小林がパス。中央に走り込んだ大久保は触るだけだったが、わずかに届かなかった。
 
 ことごとくチャンスを逸したエースは、「入らん日もある……」とポツリ。しかし、最後の最後に決勝点に絡むあたりは、やはり鋭い嗅覚のなせる業だろう。
 
 序盤から押し込み、攻め続けた川崎だが、ゴールだけが遠い。0-0で迎えた88分、途中出場の中野嘉大が局面を打開すると、エリア右で待ち構える大久保にパス。シュートの雰囲気を醸し出しながらタメを作り、大外から走り込んだエウシーニョのスピードに合わせたボールを供給し、その直後のラストパスから小川大貴のオウンゴールを誘発した。
 
 この瞬間の判断について、大久保はこう振り返る。「中野が良いところにボールを入れてくれて、エウソン(エウシーニョ)が上がるのも見えた。そこは大事に使ってやろうという気持ちでパスを出した」。強引にシュートを打たなかったのは「エウソンに出したほうが、今日は点が入りそうな気がした」からだという。
 
 大久保にとって「入らん日」であっただけに、見せ場でもあえて自分を押し殺した。「(自分は)あれだけ外していたし、最後までなにもできていなかったからね(笑)。もうエウソンにパスを出した時は、『頼む、決めてくれ』という一心だった」と明かす。
 
「前半の最初、自分が相手GKと1対1になって、それを決めておけば簡単な試合になったと思う。それが決まらずに苦しい展開になった」と反省しつつ、「でも良かった、勝って」と、最後は安堵の笑みを見せた。
 

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