ミラン番記者の現地発・本田圭佑「クラブはすべてが不透明。そして、本田の未来も…」

2016年05月25日 マルコ・パソット

3年連続で欧州行きを逃したのはベルルスコーニ体制になって初。

5月21日のコッパ・イタリア決勝でミランは、セリエA王者のユベントスと互角以上の戦いを演じる。しかし、延長110分にモラタに決勝点を決められて敗北した。写真:Alberto LINGRIA

 全ては予想通り――。本田圭佑をはじめミランの選手たちは大健闘したが、やはり奇跡は起こせなかった。5月21日のコッパ・イタリア決勝、ローマの夜空にカップを掲げたのはユベントスだった(延長戦の末、1-0でユーベが勝利)。
 
 ミランは35節終了時点でヨーロッパリーグ出場圏内のセリエA6位に付けていただけに、7位フィニッシュ&コッパ・イタリア準優勝という何とも悔いの残る幕切れだった。こうして15-16シーズンもまた、ミランは失敗に終わった。3年連続して欧州カップ戦の出場権を逃したのは、1986年にシルビオ・ベルルスコーニ体制になってから初めてのことである。
 
 しかし、今回が過去2年と異なるのは、夏に9000万ユーロ(約112億円)という大金を補強に費やしての体たらくであることだ。ミランの勝点57は、昨シーズンを5ポイント上回っただけ。つまり、たった5ポイントを得るためだけに、9000万ユーロもの巨費を使ったことになる。
 
 チャンピオンズ・リーグどころかヨーロッパリーグの出場権も手に入れられませんでしたでは、笑って済まされるレベルではない。ベルルスコーニの描く未来予想図――ヨーロッパの五指に入るクラブに返り咲き、そしてミランの株価を上昇させる――には、程遠い状態だ。
 
 この状況は様々な面で弊害を生んでいるが、中でもダメージが大きいものが2つ。1つはミランのブランドイメージ低下だ。周知の通り、いまベルルスコーニは中国資本とミランの株式売却交渉の最中にあるが、当初望んでいた金額では到底売れなさそうだ。
 
 当然だろう。3年連続で8位、10位、7位とセリエAの中位に沈み、グローバルなブランドイメージ構築に欠かせない欧州カップ戦にも出場していないのだ。欧州のみならず世界の覇権を欲しいままにした「グランデ・ミラン」の記憶は完全に消え去りはしないが、「凋落の一途を辿っている」というイメージは免れない。
 
 もう1つは、率直に経済効果だ。チャンピオンズ・リーグの約6分の1とはいえ、ヨーロッパリーグ出場で得られる報酬(UEFAからの配当金、TV放映権料、スタジアム収入)は無視できない。とくに、2015年度に8900万ユーロ(約111億円)もの赤字を垂れ流したミランにとってはなおさらだ。

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