【磐田】強敵と対峙するたびに進化を遂げる小林祐希。同じ「プラチナ世代」の宇佐美から“盗んだ”ものとは?

2016年05月14日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「宇佐美は試合巧者。落ち着かせるところで落ち着かせてくる」

U-15日本代表時代から親交がある宇佐美(右)とプロのピッチで初めて対峙。ゲームを落ち着かせる試合巧者ぶりは、小林の脳裏にもしっかりと刻まれた。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 強敵とピッチで対峙するたびに進化を遂げる――。「千変万化」と言ったら少々大袈裟かもしれないが、小林祐希は試合ごとに前回からの変化が感じられ、観ている側をワクワクさせてくれる存在だ。とりわけ、7節の横浜戦を境に、その成長スピードはいっそう速まっており、現役時代に同じレフティで"ファンタジスタ"だった名波監督をして「急速に成長しているひとり」と言わしめるほどだ。1-2で敗戦を喫したG大阪戦でも、先制点はこの男の左足から生まれた。
 
 17分、ペナルティエリア近くで直接FKを得ると、短い助走からニアを狙って左足を振り抜き、GKの前でバウンドさせる。正面に回り込んでキャッチしに行った東口順昭の手元をすり抜けてゴールネットを揺らした。シュートイメージの伏線は、試合前のウォーミングアップにあったという。
 
「アップの時に水を撒いていてグラウンドがウェッティ(濡れている)だったので、FK1本目はGKの前でバウンドさせる強い球を蹴ろうと。もう少し山なりのボールでゴール前に落としたかったけど、低くなったことが逆に良かったのかもしれない。(相手GKのミスで)ラッキーな面もあったとはいえ1点は1点だし、良い形で先制できたと思います」
 
 小林が今、最も意識しているのは「対戦相手の中心選手の良いところを『真似する』、『盗む』」こと。G大阪には遠藤保仁や今野泰幸、丹羽大輝、米倉恒貴、藤春廣輝ら日本代表クラスが揃うなかでも、特に観察の目を向けたのが、同じ「プラチナ世代」の宇佐美貴史だ。
 
 07年のU-15日本代表で初体面を果たし、日頃連絡を取り合うほどの仲だが、プロのピッチで対戦するのは今回が初。この日は小林のサイドで宇佐美が起用されたこともあり、厳しいマークをかい潜りながら、巧みにチャンスメイクしていく"ライバル"の一挙手一投足を追った。
 
「彼は彼でガンバでやるべきことがあって、俺は俺でジュビロでやるべきことがある。お互いそれをまっとうしながらプラスアルファを出そうと思っていました。試合中、彼のプレーを見ながらどんなプレーしているのか、どんな振る舞いなのか見ていましたけど、やっぱり試合巧者というか、落ち着かせるところは落ち着かせることができていましたね」
 

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