【岩本輝雄のオタクも納得!】大一番を制したフロンターレの「距離感」はなぜ良かったのか――それは相手が“レイソルだったから”

2016年05月10日 岩本輝雄

豪快な一撃で先制点を決めたエドゥアルド・ネットの存在が効いていた。

ブラジル人らしいリズム感で中盤を構成したE・ネット。中村や大島との関係性も良かった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 レイソルにとっては厳しい一戦だった。
 
 5連勝と波に乗るレイソルは、フロンターレをホームに迎えての大一番で、1-3の完敗を喫した。
 
 好調時のチームを支えていた中川や武富、鎌田がいずれもコンディションに問題を抱えて欠場。その結果、チーム全体にいつもの躍動感がなく、ボールを奪われた後の素早いプレスも足並みが揃わずに、強度も足りていなかった。

 守備の部分で自らリズムを悪くしていた印象で、フロンターレの勢いに押されてしまっていた。思うようにペースを握れないなか、ボランチの小林にもいつもの積極性が見られなかったのは残念だった。

 小林のポテンシャルには期待しているし、能力の高さも間違いない。だから、フロンターレの中村との激しいマッチアップを期待していたけど、どこか受け身で、中盤の攻防では劣勢を強いられていた。

 一方のフロンターレは、豪快な一撃で先制点を決めたエドゥアルド・ネットの存在が効いていた。ブラジル人らしい独特のテンポでパスを捌いて、ゲームを組み立てていく。中村や大島との関係性も良く、そこに大久保も絡んでくる攻撃は見ていて痛快だった。
 
 パス回しにしても、フロンターレの選手はみんな落ち着いていて、ボールの動かし方も効率が良かった。レッズ戦で今季初黒星を喫した後、ガンバには勝ったけど、1-1のドローに終わった前節のベガルタ戦は内容が悪かった。そうした流れのなかで迎えたレイソル戦で、久々にフロンターレらしいサッカーができたと思う。
 
 とりわけ目を引いたのが、選手同士の距離感の良さ。距離感は試合によって良し悪しがあるけど、レイソルのように"つなぐ"チームとの対戦なら、フロンターレのサッカーも似ているから、自分たちのスタイルを大きく崩さずに戦うことができる。
 
 レイソルもパスをつなごうと距離感を大事にする。フロンターレからすれば、同じ土俵で戦えるというわけだ。

 これが、ロングボールを多用するチームが相手になると、どうしても間延びさせられて、距離感が遠くなる。そうなると、自慢のパスワークにも狂いが生じてきて、ポゼッションも低くなる。一発のロングパスで2トップをガンガン走らせてくるベガルタとの試合で苦戦したのも、"噛み合わせ"の悪さが原因だったと思う。

次ページ持ち味を存分に発揮して勝利できたのは確かな手応えになったはず。

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