【浦和】向かい風にノブの癖――。柏木陽介が明かす鮮烈ドライブ弾を成功させた背景とは?「右足にはけっこう自信があった」

2016年05月09日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

悪い流れのなか訪れた44分のチャンス。「短い時間のなかで、動きを修正できた」

前半終了間際、柏木が咄嗟の判断で駆け上がり、利き足とは逆の右足で鮮烈なドライブ弾を叩き込んだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 超満員のNACK5スタジアムで2年ぶりに行なわれた「さいたまダービー」は、首位の浦和が好調だった大宮に1-0の勝利を収めた。これで公式戦12試合連続負けなしだ。
 
 前半は大宮の高い位置から掛けてくるプレッシングに苦しんだ。「相手の先発メンバーを見た時、『これはプレッシング優先で来るな』というのは分かった」と槙野が振り返ったように、ムルジャ、ペチュニクら助っ人陣をベンチに置いて"浦和封じ"の対策を練ってきたのは明らかだった。
 
 ボランチの柏木もいくつかの打開策を試みた。
 
「相手も真ん中をしっかり固めてきて、バイタルエリアでフリックしたところを奪われカウンターを食らってしまい、『これは狙われているな』と感じた」
 
 背番号10はショートパスにこだわらず、早めにロングフィードを放つなど攻撃のテンポを変えようと努めた。しかし、それでも上手く行かず、逆にミスからボールを失い、大宮アタッカー陣のスピードを活かして畳み掛けようとするカウンターに後手を踏んだ。
 
 では、どうするか?

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 ここで昨季とはひと味違う柏木の判断が冴える。決勝弾が叩き込まれたのは、前半終了間際の44分だった。
 
 両チームともに一瞬のミスが致命傷になりかねない綱渡り状態が続いた。ならば、先に一瞬の隙を突けばいい――。昨季までには見られなかった、リスク覚悟の"強気"な柏木が試合を動かした。
 
 大宮の最終ラインがバランスを崩している間に、センターライン付近でFKを得る。李が素早くリスタートして前線にフィードを放つと、自陣にいた柏木も猛スピードで駆け上がる。ファウルでFKを与えた大宮のCB菊地は最終ラインまで戻り切れていない。

 柏木は岩上にプレスをかけてボールを奪い、武藤につなぐ。武藤は奥井のマークを振り切って右足で横パス。そして約22㍍の位置から柏木が右足を振り抜き、ハーフボレーによるドライブ弾を叩き込んでみせたのだ。
 
 柏木は次のようにゴールシーンを振り返った。
 
「リスタートした後、武藤の近くに向かって走り、パスで絡もうと思った。でも、ごちゃっとしたので(武藤と奥井が競り合ってもつれる)、動き直したらそこに武藤からのパスが来た。短い時間のなかで、動きを修正できた」
 
 

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