“6つのP”を重視する反町康治GMは指導者育成に注力。教え子の岡崎慎司にも期待「最終的にはここ清水でアウトプットしてほしい」

2024年07月14日 元川悦子

「ロールモデルコーチ」といった独自のポジションを新設

清水で新たなキャリアをスタートさせた反町GM。飾らない人柄も魅力だ。写真:元川悦子

 2019~23年に5年連続で監督が途中交代した清水エスパルス。今季は昨季途中からバトンを引き継いだ秋葉忠宏監督がシーズンの初めからチーム作りを進めており、「今年は自分が頭から選手を見ているので、サッカーの方向性や戦術が浸透している」と自信をのぞかせていた。

 6月以降はやや苦戦を強いられているものの、秋葉体制でやれることはまだまだあるはず。反町康治GM・サッカー事業本部長も内藤直樹強化部長らと協力しながら、サポート体制を強固にしていくつもりだ。

 秋葉監督を筆頭に、優れた日本人監督を育てなければいけないというのは、日本サッカー協会(JFA)技術委員長を務めていた反町GMも強く意識するところ。実際、JFA時代はライセンス制度の見直しを進め、元日本代表やJリーグで実績のある元選手が、より迅速に上位ライセンスを取れるように手を尽くしてきた。

 同時に「ロールモデルコーチ」といった独自のポジションを新設。内田篤人、中村憲剛、阿部勇樹といったワールドカップ経験者の高度な経験値を現場に還元するように努めたのだ。
【PHOTO】サポーターが創り出す圧巻の光景で選手を後押し!Jリーグコレオグラフィー特集!
「JFAプロ(公認S級)ライセンスとUEFAプロライセンスの互換性に関する検討が進んでいて、近い将来には認められるようになるという見通しも立ちつつあります。となれば、昨季限りで引退した長谷部誠や岡崎慎司が日本でS級を取って、欧州で監督をすることが可能になるということです。そうは言っても、長谷部にはそのまま海外でUEFAプロまで頑張って取得してもらいたいですけどね。

 岡崎は引退後、ドイツ6部のバサラ・マインツで監督業をスタートさせると聞いていますが、それは嬉しいこと。

 彼はマインツ時代にトーマス・トゥヘル、レスター時代にはクラウディオ・ラニエリのもとでプレーして、高度なエッセンスを持っている。エスパルスOBでもあるので、最終的にはここ清水で、海外経験を指導者としてアウトプットしてほしいですね」と、反町GMは北京五輪代表時代の教え子の力も借りながら、清水の底上げ、日本サッカーの成長に寄与していく構えだ。

 やはり指導者のレベルというのは、クラブの成否を大きく左右する。今季J1を席巻しているFC町田ゼルビアにしても、2年前まで青森山田高で指導していた黒田剛監督が卓越した手腕を示している。「黒田監督は隙を作らないサッカーを徹底している」と反町GMも素直にリスペクトの念を抱いている様子だ。

「Jリーグの監督はこれまで『右向け右』『左向け左』という傾向が強かったと感じています。圧倒的なボール支配力で敵を凌駕していくバルセロナのペップ・グアルディオラ(現マンチェスター・C監督)のスタイルが一世を風靡した途端、そちらに寄せていく動きが加速したのが好例ですけど、もっとオリジナリティがあっていい。

 今の町田は勝利から逆算してシンプルなことを突き詰めていますけど、サッカーはそれが大原則。信念を持ってそれを続けられるかどうかが重要だと思いますね」

【PHOTO】ゲームを華やかに彩るJクラブ"チアリーダー"を一挙紹介!

次ページ『反町やめろ』と言われないように

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事