サッカーダイジェストのプレミアリーグ担当がシーズン徹底総括! Vol.2――明暗が分かれたロンドン勢&岐路に立ったユナイテッド

2016年05月09日 ワールドサッカーダイジェスト編集部・サッカーダイジェストWeb編集部

チーム方針と合致したポチェッティーノのスタイル

中心メンバーの大半が20代前半と若いトッテナムには、爆発力が備わっていた。 (C) Getty Images

――それでは、今シーズンのプレミアリーグのビッグクラブを振り返っていきましょう。まず、最後までレスターと優勝争いをしたトッテナムをどう評価しますか?
 
編集K(ワールドサッカーダイジェスト・プレミアリーグ担当):開幕当初の目標がトップ4、あわよくば3位入りだった。だから、優勝を逃したにしても、満足度の高いシーズンだったんじゃない?
 
編集N(ワールドサッカーダイジェスト・プレミアリーグ担当):昨シーズンからマウリシオ・ポチェッティーノ監督が志向し続けたハイラインプレスの戦術を、開幕直後から形づけられたのが大きかった。早い段階で新戦力のデル・アリ、トビー・アルデルワイレルドなどの新戦力が、チーム戦術を共有できていたのも大きかったよね。
 
編集H(サッカーダイジェストWEB・プレミアリーグ担当):あとは平均年齢24歳とリーグ最年少の若いチームで、息の合ったグループを作り出して、それが良い方向に出たかなとも思います。例えるなら「部活」のような感じですかね。
 
編集部N:確かにケインも偉そうにするような場面はなかったし、同世代が一丸となった良いグループだったね。
 
――ここまでリーグトップの25ゴールを決めているケインは、いわゆる「2年目のジンクス」とも無縁でした。
 
編集部K:うん。ただ、実は開幕直後は少し苦しんでいたんだよね。でも、7節のマンチェスター・シティ戦でシーズン初ゴールを決めたのが、自信に繋がったんだと思う。そこからは10節のボーンマス戦のハットトリックとか量産体制に入ったから。
 
編集部N:ケインが点を取り始めたのは、ちょうどアリがセンターハーフからトップ下にポジションを上げたのと同時だった。結果、ここまでアリはケインに7アシスト。ホットラインとしては今シーズンのプレミアで最多なんだよね。
 
編集部H:あとはリーグ最少失点(※37節終了時で30失点)に貢献しているヤン・ヴェルトンゲン、アルデルワイレルドのCBコンビの存在も大きかったですよね。
 
編集部K:この2人は、相手を待ってボールを弾き返すっていうよりも、積極的に仕掛けていくアグレッシブな守り方なんだよね。かつてはアヤックス、今もベルギー代表で一緒にやっているだけあって、連携面は抜群だった。
 
――でも、ヴェルトンゲンは2月から2か月弱故障離脱しています。その穴埋めは大丈夫だったんですか?
 
編集部K:あの時は冬の移籍市場でフェデリコ・ファシオをセビージャに出してしまって、CBの控えがケビン・ヴィンマーしかいなかった。今シーズンのチーム最大のピンチだったかも。
 
編集部N:でも、そのヴィンマーが全く問題なく穴を埋めて、守りの質を維持できた。それはトッテナムが順位を落とさずにいれた理由かもしれない。
 
編集部H:それまでヴィンマーはリーグ戦で1試合しか出ていなかったですが、違和感なくプレーさせたのはポチェッティーノの手腕も関係するんじゃないですか? ラニエリがいなかったら最優秀監督賞を取っていたと思います。
 
編集部K:今、トッテナムは新スタジアム建設で補強予算の節約をしてて、そこで若手を積極的に起用するポチェッティーノはハマったね。いつもは何かと苦言を呈するダニエル・レビー会長も納得だろうね。
 

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