心に残った鬼木監督の助言。「SBが天職」と誇らしげな川崎U-18・関德晴のポテンシャル。憧れの存在は山根視来

2024年07月02日 松尾祐希

右利きだが左足のキックにも自信

川崎のアカデミー育ちの関。最大の魅力はスピードと技術を活かした“運ぶ”プレーだ。写真:松尾祐希

 前半の半ばだった。15番を背負う左SBはボールを受けると、ハーフウェーラインを過ぎたあたりから前に運んでいく。敵の守備網を、うまく身体を入れながらスルスルと抜けていく。

「おー!」

 観客席からも歓声が上がる。結果的に決定機には結びつかなかったが、ポテンシャルを示すには十分なプレーだった。

 6月30日に行なわれたU-18高円宮杯プレミアリーグEASTの第10節・青森山田戦。川崎フロンターレU-18は序盤から自慢のパスワークで試合を優位に進め、後半に2得点。相手の反撃を最終盤の1点に留めて2-1の勝利を収めた。

 この一戦でインパクトを放ったのが、左SBで先発したDF関德晴(2年)だ。183センチ・70キロ。線はまだまだ細いが、SBとしては大柄だ。その運動能力もバスケットをやっていた父親と母親から譲り受けており、身体に無理がきく点も目を見張る。
 
 最大の魅力は、スピードと技術を活かした"運ぶ"プレーだ。特に素晴らしかったのが、冒頭で記したドリブル。「あれをきっかけに青森山田が踏み込んでこなくなった」(関)。相手の勢いを削ぎ、積極性が増した。

 そこからは独壇場だ。左MF児玉昌太郎(3年)とうまく連係し、果敢に高い位置に顔を出す。ボールをさらしつつ、相手が飛び込んでくれば前に出る。大外を回るオーバーラップも効果的だ。

 チームの2点目も、関の攻撃参加から生まれた。71分に児玉がペナルティエリアの左角で収めると、関が児玉の外を回って走り込む。ダイレクトで左足を振ると、ボールは逆サイドの右SB柴田翔太郎(3年)のもとへ。そこから放ったグラウンダーのシュートはGKに防がれるかと思われたが、手前でFW恩田裕太郎(2年)がヒールでコースを変えてネットを揺らした。

「サイドバックでも結果にこだわりたい。まだまだ最後のところで相手のゴールキーパーにクロスがいく課題もあったので、次節に向けて練習をしていきたいです」

 謙虚な言葉で振り返ったが、ゴールに絡めるSBは貴重な人材。利き足は右足だが、左足でも難なくボールを蹴れる。「小さい頃に右足が痛い時があって、その際に左足だけで蹴っていたら上達した」と自信を持っており、左サイドだけではなく右サイドにも対応可能で、両足でクロスを入れることができる。

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