【移籍専門記者】バイエルンが狙うCBはフンメルスだけじゃない。アンチェロッティ新監督が獲得を熱望するのは――

2016年04月30日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

イタリア人の新監督がターゲットを定めた攻守万能のCB。

本人が入団を望んでいるフンメルス(左)に加え、クリバリ(右)の引き抜きも狙っているバイエルン。今夏はアンチェロッティ新監督の下で最終ラインのテコ入れを目論む。(C)Getty Images

 イタリア人監督にとって最も大事な原則は「失点しないこと」。メンタリティーの問題だ。たとえそれがカルロ・アンチェロッティという名前で、スペクタクルな攻撃サッカーの信奉者だとしても、その原則に変わりはない。
 
 来シーズンからバイエルンを率いる名将が準備している補強リストにも、それはしっかりと反映されている。筆頭にリストアップされているのはCBだ。
 
 4月28日にドルトムントが「マッツ・フンメルスが今夏にバイエルンに移籍したいという意向をクラブに伝えてきた」と公表した通り、フンメルスがそのターゲットの一人なのは間違いない。現時点でドルトムントは「まだバイエルンから正式オファーは届いていない。我々は重要なオファーのみを検討する」と語っており、これからクラブ間交渉が行われるだろう。
 
 ただ、アンチェロッティが欲しがっているCBは、フンメルスだけではない。強く獲得を望んでいるのが、ナポリのカリドゥ・クリバリだ。25歳とまだ伸びしろを残し、強靭な肉体を持ちながらテクニックも高い。敵のストライカーを封じ込めるだけでなく、組み立ての起点としても機能する攻守万能のCBだ。ナポリのマウリツィオ・サッリ監督は、このセネガル代表に絶大な信頼を寄せている。
 
 しかしバイエルンは、今シーズン終了後すぐ一気に話を進めて獲得を決めてしまおうと、本気で交渉の戦略を練り始めている。アンチェロッティはクリバリに標的をロックオンしたー―。それは、勝つためには何よりも「失点しないこと」が大事だからだ。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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