【リーガ現地コラム】2試合連続4ゴールの快挙。絶好調スアレスの存在はバルサの逃げ切りに不可欠だ

2016年04月28日 豊福晋

リーガ史上初の2試合連続4ゴールを達成。

PKをネイマールに譲る余裕を見せながらも、デポルティボ戦に続きS・ヒホン戦で4得点。スアレスの好調は、ラストスパートに入ったバルサにとって非常に心強い。(C)Getty Images

 いまのスアレスがいれば――。

 リーガ・エスパニョーラ35節のスポルティング・ヒホン戦だった。バルセロナのルイス・スアレスは、リーガで2試合連続4ゴールという偉業を成し遂げた。

 デポルティボ戦に続いての4得点。2試合連続で4ゴールを決めたのは、リーガ史上、彼が初めてだ。今シーズンは公式戦49試合に出場して53ゴール。リーガの得点ランキングでは、クリスチアーノ・ロナウドを抜いてトップに躍り出た。キャリアを振り返ってみても、48試合で49得点(2009-10シーズン)を叩き出したアヤックス時代の自己記録をすでに上回るなど、絶頂の時を過ごしている。

 だからこそ、だろう。

 カンプ・ノウのファンは嬉しさと悔しさが入り混じった、複雑な気持ちでこのストライカーを眺めている。

 スアレスの調子がいまと同じくらい良かったら、2戦合計2-3で敗れたアトレティコ・マドリーとのチャンピオンズ・リーグ準々決勝も、なんとかなったのではないか。

 そんな思いが、彼らは頭から離れないようだ。

 もっとも、スアレス自身はすでにリーガに頭を切り替えている。

 72時間(デポルティボ戦は4月20日、スポルティング・ヒホン戦は同23日に開催)のうちに8得点を決めた男は言う。

「2試合連続の4ゴールなんて初めてだ。練習でも決めたことがない。これがリーガ優勝につながれば」

 現在、リーガ首位のバルサはアトレティコ、レアル・マドリーと熾烈なタイトル争いを繰り広げている。アトレティコとは同勝点で並び、R・マドリーとの差はわずか1ポイントだ。ルイス・エンリケ監督が「おそらく3チームとも残りの3試合で負けることはない」と語るように激闘は最後まで続くが、直接対決の結果でアトレティコを上回るバルサは、3勝すれば優勝が決まる。

 この勢いのまま最後の270分を乗り切るべく、ラストスパートに入ったバルサ。その命運を握るのがスアレスである。

「8得点には正直、自分でも少し驚いているけど、ゴールデンブーツ(欧州全体の得点王)はあまり意識していない。もし勝ち取れたら嬉しいけどね」

次ページいまやスアレスはゴールを狙うだけの存在ではない。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事