「キム・ミンジェはもっと上のレベルに到達できる」林陵平がバイエルンのCBを徹底比較!「少し伸び悩んでいる印象を受けるのが…」

2024年04月25日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

弱点らしい弱点がない総合力の高いキム・ミンジェ

昨シーズンのセリエAで最優秀DFに輝き、今シーズンはバイエルンに加入と順調なステップアップを遂げているキム・ミンジェ。(C)Getty Images

 キム・ミンジェ、ダヨ・ウパメカノ、マタイス・デ・リフト。バイエルンが誇るCBトリオは、それぞれ何がどう具体的に違うのか。林陵平氏が個々のスタイルを掘り下げる(編集部・注/このインタビューは2024年2月下旬に実施した)。

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 キム・ミンジェは、3人の中で最も総合力が高いセンターバックです。190cmの長身に加え、スピードもあるので空中戦でも地上戦でも強さを発揮する。ボールスキルも高く、ドリブルで前に持ち上がったり、鋭い縦パスを供給したりできます。これといった穴が見当たりません。

 タイプ的には、マンチェスター・ユナイテッドのラファエル・ヴァランヌに近いですかね。5大リーグ初挑戦だった昨シーズン、ナポリで圧倒的なパフォーマンスを見せてセリエA最優秀ディフェンダーに輝き、今シーズンはバイエルンに加入と、急激なステップアップを遂げています。アジアカップで離脱した期間を除くとほとんどの試合に先発していて、チームで最も指揮官の信頼が厚いセンターバックと言えるでしょう。

 年齢的には27歳と中堅で、伸びしろもまだまだ十分にあると思います。驚異的な身体能力だけでなく、危機察知能力を兼ね備え、インテリジェンスも高い選手なので、今後さらに経験を積み重ねていけば、もっと上のレベルに到達する可能性を秘めています。アジアからここまで完成度の高いセンターバックが現われたのは驚くべきことですよ。

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 ダヨ・ウパメカノの特筆すべき点は、桁違いのアスリート能力です。スピードとパワーを併せ持ち、とくに1対1の守備力は圧倒的。身体能力は世界屈指と言っても過言ではないでしょう。ビルドアップではドリブルで前に持ち運べるので、タイプとしてはキム・ミンジェに似ていますね。

 ただ一方で、ウパメカノは身体能力に頼りすぎている印象があり、インテリジェンスの面で改善の余地があります。フィジカルが突出した選手にありがちなんですが、細かいポジショニングや、ラインコントロールなどがあまり得意とは言えません。とはいえ、こうした欠点も身体能力でカバーしてしまうケースが多いんですけどね……。
 

 また、2試合連続でレッドカード(CLラウンド・オブ16 第1レグのラツィオ戦とブンデスリーガ22 節のボーフム戦)を受けているように、集中力が切れるシーンも多く見受けられます。それでも、タレント揃いのフランス代表でもコンスタントに出番を得ているように、実力は折り紙付き。弱点を克服すれば、恐ろしいセンターバックになるかもしれません。

次ページ自分がバイエルンの監督でも、CBのペアに並べるのは…

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