【浦和】アジアキラー武藤雄樹が見せた、「ごっつぁんゴールだったね」という不躾な質問への文句なしの切り返し

2016年04月06日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

「チャンピオンになれる力があると証明できた」

今大会3点目。アジアキラーぶりを発揮した武藤は、「チャンピオンになれる力があることを証明できた」と自信をつけた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 そこにいたのは、またも浦和の背番号9――武藤だった。
 
 劇的な勝利を収めた4月5日のACLグループステージ、埼玉スタジアムでの広州恒大戦。前半と同様に、後半も序盤はアジア王者が優勢に試合を進め、徐々に浦和がその隙を突きながら主導権を握り返していった。
 
 迎えた52分、何度もドリブル突破からチャンスを作っていた関根の右サイドからのクロスが、逆サイドにいた宇賀神につながる。そして宇賀神の「シュートを狙った」というボールが、「ゴール前に詰めていれば、チャンスになると思っていた」という武藤のもとへ飛ぶ。
 
 背番号9は素早く反応。腰を落として相手DFの前に入ってヘディングで合わせ、広州ゴールをこじ開ける。その瞬間を待ち侘びていた、埼玉スタジアムを真っ赤に染めた情熱的なサポーターの歓喜が爆発する――。
 
 これで今大会通算3ゴール目。日本代表として昨年の東アジアカップで得点王に輝いているが、このACLでも"アジアキラー"ぶりを発揮している。 武藤は頷く。
 
「押し込んだり、かっさらったり、決して綺麗な形ではないけれども、僕は常にゴールを狙っている。日本よりも外国のチームのほうが、ルーズな部分があるので、自分の良さを出せているのかもしれない。『今日は行ける』という手応えがあり、ゴールを奪えると思っていた」
 
 武藤が務めるのが、2列目の左シャドーのポジションだ。その左サイドでコンビネーションを高める相手は、流通経済大の先輩にあたるウイングバックの宇賀神。その"流経大ホットライン"から生まれた渾身のゴールとなった。
 
「自分はしっかりゴール前に詰めておこうと思った。そこにボールが来たので、ヘッドで合わせた。まあ、(宇賀神の)ナイスパスだったことにしましょう」

 そう笑った武藤だが、この勝利はチームに大きな意味をもたらすと実感している。次のように確かな手応えを得ていた。

「一丸となって掴んだ勝利なので、最高に嬉しかった。(前回大会覇者に勝ったことで)チャンピオンになれる力があると証明できた」
 
【ACL PHOTOハイライト】武藤がアジア王者相手に決勝点! 

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