【浦和】広州恒大を撃破。“10年に一度の好ゲーム”ペトロヴィッチ監督は絶賛。ターニングポイントとなったのは――

2016年04月06日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

再び腰を痛めた指揮官。「立っているのもままならなかったが、そんな痛みさえ忘れてしまうほどだった」

腰痛を再発させ、杖をついて指揮を執ったペトロヴィッチ監督。それでも痛みを忘れてしまうほどの好ゲームだったという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「10年間仕事をして、Jリーグのほぼすべての試合を見てきたが、日本で見られる稀な好ゲームだった」
 
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 浦和が前回ACL覇者の広州恒大をホーム迎え、1-0で打ち破った。試合後の記者会見でペトロヴィッチ監督は開口一番、そのように振り返った。
 
 06年6月に広島の監督として来日し、12年からは浦和を率いて今季でクラブ史上最長の5年目。ちょうど丸10年を迎えようとしているタイミングで、まさに"10年に一度"の好ゲームを勝利で飾った。
 
 58歳になる指揮官は持病である腰の神経痛を再発させてしまった。そのため、この日は両腕でステッキを突いてコーチングボックスの最前列に立ち、選手へ指示を送った。ただ、「立っているのもままならなかったが、そんな痛みさえ忘れてしまうほどだった」と90分間は過ぎていったという。
 
「もちろん、それは対戦相手の攻撃的な姿勢があってこそ」
 
「両チームともに攻守の切り替えも、テンポも早かった。全体の内容を鑑みれば、私たちが上回れた試合だったのではないかと思う」
 
 このグループステージでは、3月16日のアウェー(△2-2)と合わせて1勝1分の成績を収めた。これで広州恒大のグループステージ敗退が濃厚となり、一方、勝点7に伸ばした浦和は08年以来のベスト16進出が見えてきた。
 
 そして指揮官は"ミシャスマイル"を浮かべ、次のように嬉しそうに言った。
 
「サッカーの世界において、『お金ですべては買えない』ことを証明できた。相手には多くの資金をつぎ込んで獲得した外国人選手が3人いるが、チームで相手を上回れた。チームとして勝てたことが、なにより嬉しい」
 
 一方で、次のようなふたつの課題を挙げていた。
 
「2点目、3点目と奪えるチャンスがあっただけに、そこを決め切ることが今後の課題になる。また、コンビネーションで4人目の動きが関わるのは非常に稀だが、柏木から関根の右足のパスがミスになった場面には、怒りを覚えた。ああいったところの最後の質を上げなければいけない」
 
 これで公式戦は、3月6日のJリーグ第1ステージ2節の磐田戦(●1-2)のあと、4勝1分。最近は3連勝中である。
 

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