惜敗の横浜戦、10人でも諦めない京都を象徴した“CB”宮本優太の奮闘

2024年03月18日 河治良幸

声がかかったのは51分だった

横浜戦で途中出場の宮本。力強いプレーでチームを盛り立てた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[J1第4節]京都 2-3 横浜/3月17日/サンガスタジアム by KYOCERA

 京都はホームのサンガスタジアムで横浜に挑み、2-3で敗れた。結果が全てという見方をすれば、勝点1も取れなかったことをポジティブに捉えることはできない。

 しかし、試合後に曺貴裁監督が「人生が詰まった90分間だった」と振り返るように、前半の退場劇で10人になった京都が諦めることなく一度は2-2に追いつき、後半に再び勝ち越されてからも同点、逆転の可能性すら感じるパフォーマンスを見せたことは、敵将のハリー・キューウェル監督も認める戦いぶりだった。

 チームの2点目を決めたU-23日本代表のMF川﨑颯太も「正直に言えばやり切った」と胸を張る試合で、よもやのアクシデントに対応したのが、浦和から期限付き移籍で京都に加入しているDF宮本優太だ。

 柏との開幕戦では後半の途中から左サイドバック、終盤の3バック変更で右ウイングバックに回った宮本は、2節・湘南戦は途中出場ながら、今度は右サイドバックでプレーした。

 しかし、3節・川崎戦は出番がなく、アウェーでの勝利をベンチから見守った。そんな宮本に横浜戦で、曺監督から声がかかったのは51分だった。
 
 8分にセンターバックのアピアタウィア久が一発退場、アンカーを担っていた金子大毅が最終ラインに下がって、麻田将吾とセンターバックを組むことに。そこから一度は0-2とリードされるも、前半の終わりにカウンターとCKから得点した京都だが、その金子が負傷してしまったのだ。

 そして宮本が入っていきなり、横浜のスローインを起点に、FWアンデルソン・ロペスに勝ち越しのゴールを許してしまう。ニアでシュートに行った植中朝日のキックがミスになり、結果的にA・ロペスに合わせられるという、京都からすると少々アンラッキーな形だったが、宮本は「あの時間に失点したくはなかった」と振り返る。

 それでも「失点したことに引きずることはないって。0-2から追いつけたことで、もう失うことはないと思って、チームのみんなも感じてたと思うので。そこから1点返そうと冷静にやれていたところはある」と語ったとおり、そこから10人で前向きに戦うチームの後方を幅広く守り、A・ロペスにも仕事をさせなかった。

 右サイドバックが本職の宮本は171センチと大柄ではないが、フィジカル面には絶対の自信を持つ。浦和では"ランニングマン"の異名を取るほど、タフなハードワーカーでもある。

 実は川崎戦の後、トレーニングマッチでセンターバックを経験していたという。「その時に良いイメージがあった」と宮本。緊急事態とはいえ、曺監督が「お前ならどこでもできる」と力強く宮本の背中を押せたのは、そこで見せたパフォーマンスもあったのだろう。

【PHOTO】スタジアムに熱い声援を響かせる京都サンガF.C.サポーター!

次ページその声がチームを後押し

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事