【サッカーダイジェストの視点|アフガニスタン戦】シンガポール戦が頭をよぎった“嫌な雰囲気の正体”

2016年03月25日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

“表面上”は間違いなくパーフェクトだったが…。

岡崎が先制するまではアフガニスタン戦にやや苦戦。前半の不出来は、キャプテンの長谷部(17番)も認めている部分はある。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト編集部)

 ワールドカップ・アジア2次予選のアフガニスタン戦で、日本代表は5-0と圧勝。岡崎慎司の先制弾を皮切りに、清武弘嗣、吉田麻也、金崎夢生が続いたゴールショー(もう1点はオウンゴール)をヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「美しい勝利」と称えた。

【W杯アジア2次予選第7戦・PHOTOハイライト】 日本 5-0 アフガニスタン

 確かに、スコアは美しい。大量5ゴールを決めたうえに、無失点。ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で「今回の目的」と話した「勝利、無失点、できるだけたくさん点を取る」を見事に実践したのだから、"表面上"は間違いなくパーフェクトだ。

 しかし、である。平和な90分間だったかと言えば、決してそうではない。実際、試合後の会見でハリルホジッチ監督は次のように告白している。岡崎の先制点が決まるまでは、「(スコアレスドローに終わった)シンガポール戦が頭をよぎった」と。

 そうなのだ。現体制下で初めて4-4-2システム(中盤はトップ下を置くダイヤモンド型)をテストしたアフガニスタン戦の前半に限れば、チームが上手く機能していたとは言い難い。

 気になったのは、「今までのサッカー人生でサイドに流れることはまったくなかった」と言う柏木陽介の戸惑いだ。持ち前のパスセンスをほとんど活かせず、どこか埋もれていた印象で、現にひとつもゴールに絡んでいない。

 アウェーのシンガポール戦やカンボジア戦で名手アンドレア・ピルロのように振る舞っていたのが嘘のように、ポジションをボランチから中盤のサイドに変えたことで別人のようになってしまった。柏木のパスセンスを"消した"という意味で、ハリルホジッチ監督の采配には疑問符が付くかもしれない。ただし──。

 ハリルホジッチ監督を擁護するわけではないが、テストしてみなければ分からない側面があったのもまた事実だ。

 柏木が中盤のサイドで機能しなかったのはあくまで結果論。そう考えると、一概にハリルホジッチ監督を批判できない。試してみたからこそ柏木が現時点で中盤のサイドに不向きなことが分かったと捉えれば、それはそれで今後のチーム作りに向けて収穫のようにも映る。
 
 とにかく、今回のアフガニスタン戦は"見解が分かれる試合"だ。日本が前半に相手の体力を削ったからこその後半のゴールラッシュという捉え方がある一方で、たた単純にアフガニスタンが弱かったとの見方もできる。

 事実、アフガニスタンのペタル・セグルト監督は完敗を認めたうえで、こう言っている。
 
 

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