「得点は自分の個の力」福岡内定MF橋本悠の溢れんばかりの熱量。アビスパと大学「どちらも全力でやることが大事」

2024年02月27日 安藤隆人

鳥栖U-18で磨いた足技と縦への意識

左サイドで輝きを放つ橋本。精度の高い両足のキックとずば抜けた走力が武器だ。写真:安藤隆人

 福島県で開催されたデンソーカップチャレンジ福島大会プレーオフ。2月27日から始まる本戦出場を懸けた5日間に渡る戦いに臨んだ九州選抜において、唯一のJ内定選手が福岡大のMF橋本悠だ。

 2025年にアビスパ福岡への加入が決まっている橋本は、福岡大では左ウイングバックを主戦場に、精度の高い両足のキックとずば抜けた走力を武器に、サイドでチャンスメイクからフィニッシュワークまで務める。

 九州屈指のアタッカーは、九州選抜でも左ウイングバックでプレーし、チームを牽引。関東選抜B戦では、鋭いカットインから強烈な左足ミドルを突き刺した(結果は1-1のドロー)。得失点差の関係で本大会へは進めなかったが、中国選抜との3位決定戦では68分から出場し、6-2の勝利に貢献した。

「何回か縦に速いスプリントで、攻撃の起点とか、クロスも何本か上げることができましたし、チャンスメイクもできたと思います。内側の方にドリブルして得点したシーンは、自分の個の力だと思います」

 関東選抜B戦の後にこう振り返ったように、本戦出場は叶わなかったが、プレーオフ選抜として出場できる可能性は残した。やはり橋本が左サイドに入ると、縦への鋭い突破とカットイン、そこから放たれるクロスとシュートの精度で周りとの違いが出せる。能力の高い選手であることを証明するプレーぶりだった。

 サガン鳥栖U-18で磨いた足技と縦への意識を、福岡大の縦にダイナミックで強度を前面に出すサッカーにすぐにアジャストさせ、1年時からレギュラーの座をガッチリと掴んだ。鳥栖U-18時代はサイドバックが主戦場だったが、福岡大でより攻撃に絡む機会が増えるウイングバックを任されたことも、自身のプレーを磨くことに拍車をかけた。

 昨年は北海道コンサドーレ札幌に加入した左CBの岡田大和と、『走ってもよし、蹴ってもよし、仕掛けてもよし』という強烈なコンビを組んで大暴れ。九州大学リーグ1部で7ゴール・16アシストという圧巻の成績を残して、アシスト王を獲得。インカレでベスト8進出の立役者となったことで、一気に注目の存在となった。
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 これらの活躍が認められ、複数のJ1クラブが争奪戦を繰り広げた末に、橋本は福岡を選択。これで福岡は福岡大から鶴野怜樹、重見柾斗に次ぎ、3年連続で有望株を迎え入れた。

「下で繋ぎながら縦に意識を持ってやるのは鳥栖U-18時代に教わりましたし、そこにプラスして、自分の力だけで前に運ぶ力を大学で身につけたことで、それが自分の絶対的な武器になった。だからこそ、この特長を評価されてアビスパに進むことができた。これからも自分の武器を大事にしながら成長していきたい」

 今季は福岡の特別指定選手にも登録されている。

「午前中はアビスパに行って、午後は福岡大でしっかり活動する。どちらも全力でやることが大事だと思いますし、どちらでもチームに貢献し、しっかりと自分の実力を示すことを意識していきたいと思います」

 言葉の端々から溢れんばかりの熱量が伝わってくる。この熱量がある限り、橋本は貪欲に前進し続けていくだろう。プレースタイルそのままに。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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