「エースに頼りすぎている」“希望の星”久保建英への過度な依存にソシエダ番記者が苦言「タケが火中の栗を拾う羽目になっている」【現地発】

2024年02月27日 ミケル・レカルデ

ソシエダがあれほど機能していたサッカーを忘れてしまって久しい

ビジャレアル戦でモレーノと対峙する久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 イスラムの昔話だ。質素な家で母親と暮らしていたアラジンという少年がいた。今日を生きるのが精一杯の中、彼は日々、口に入れる食べ物を探して街の中心部を歩き回った。ある日、洞窟に閉じ込められたとき、ランプを見つけ、それをこすると精霊が出てきて、3つの願いを叶えてくれた。

 この物語をレアル・ソシエダに置き換えると、その願いを叶えてくれる超越した存在たる精霊がタケ・クボ(久保建英)であるのは間違いないが、ここ数試合を見る限り、チームメイトはエースに頼りすぎている。

 ソシエダが序盤にあれほど機能していた本来のサッカーを忘れてしまって久しい。そして身動きがとれず、無力感に苛まれ、妨害され、打ち負かすことができない場面に遭遇するたびに、タケが火中の栗を拾う羽目になっている。

 相手チームは左サイドの守備を強化し、タケが自由にプレーさせないようにすれば、有利に試合を進められることを知っている。冒頭のイスラムの昔話においても精霊が叶えてくれる願いは3つまでだ。
 金曜日はソシエダにとって暗黒の夜だった。マジョルカとのXデーを4日後に控え、ソシエダは混乱状態に陥り、夢いっぱいのはずの未来に疑念を抱かせた。コパ・デルレイ準決勝第2レグに向けて士気を高めるために勝利を収めることほど良いことはなかったし、おまけにこれ以上負傷者を出さないことが必要不可欠だった中、アレックス・レミロの不可解な対応が原因で先制を許した前半のうちにアンデル・バレネチェアとアマリ・トラオレがその新たな犠牲者となった。

 さらに後半開始直後にソシエダの守備陣は容認できないミスの連鎖で追加点を許し、その後、反撃しようにも気持ちが先走りしすぎて、終盤にミケル・メリーノのゴールで1点を返すのが精一杯。アディショナルタイムに敵としてアノエタに帰還したアレクサンダー・セルロトに3点目を奪われ、万事休した。

 バレネチェアの負傷は、ソシエダの攻撃プランを狂わせた。代わりにアルセン・ザハリャンがポジションを上げて左ウイングに入ったが、本来、突破力に秀でた選手ではない。ポゼッションを基調にするソシエダのサッカーにおいて、左右両ウイングは攻撃を加速させ、チャンスを生み出すチームの根幹を担う役割を担っている。しかも、ミケル・オジャルサバルの負傷による欠場が続く間は、CFから良い知らせが届くことは期待できない。
 

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