“王者のスタンダード”を取り戻した神戸。強い縦志向も、後ろからのつなぎも。切り替えがより明確になった

2024年02月25日 河治良幸

川崎に敗れ、今年最初のタイトルを逃す

開幕戦で磐田に2-0で勝利した神戸。連覇に向け好スタートを切った。写真:永島裕基

 2月24日の開幕戦。昨シーズンのJ1王者であるヴィッセル神戸は、ヤマハスタジアムで昇格組のジュビロ磐田に2-0で勝利し、幸先の良いスタートを切った。

 神戸はプレシーズンマッチのインテル・マイアミ戦が0-0(PK戦により勝利)、そして川崎フロンターレとの富士フイルム・スーパーカップでは0-1の敗戦を喫し、今年最初のタイトルを逃していた。

「(スーパー杯の)影響はかなり大きいと思います。自分自身も今週の1週間は修正というか、確認というか。もう一度、選手とみんなで話して、今日のパフォーマンスにつながった」

 そう語るのは吉田孝行監督だ。スーパー杯では、川崎が4日前のACLから完全ターンオーバーだったこともあり、神戸有利の声も多く見られた。だが蓋を開けてみると、川崎がエースの大迫勇也をタイトにチェックしたうえで、セカンドボールを拾ったら素早くスペースに運ぶなど、目に見えて神戸対策が反映される試合展開だった。

 神戸は川崎の守備を前にパススピードが上がらず、ロングボールも対応されたことで、攻撃が停滞気味になっていた。DF山川哲史も川崎戦については「相手が実際に今年ありそうなヴィッセル対策をしてきた」と振り返る。
 
 開幕戦に向けて吉田監督は「自分たちのやっていたことを再確認した」と語るように、選手たちと確認したのは、本来の自分たちのスタンダードという部分だったようだ。実際に目に見えて変わったのはテンポの早さで、本来パスワークをベースに攻勢をかけるスタイルの磐田から主導権を奪った。

「細かい立ち位置とかもしっかりと、この試合に向けて修正できましたし、今日のピッチでもあったんですけど、そこも選手たちがしっかり確認してゲームで対応してくれた」

 神戸と言えば真っ先にイメージされるのは、強度の高いハイプレスとショートカウンターに効果的なロングボールを織り交ぜた、縦志向の強いスタイルだ。しかし、それをひたすら押し通すだけで、多様な相手を全て上回っていくことはできない。

 去年も状況によって自陣からつなぐことはあったし、後ろの守備で耐えることはあったが、磐田戦を見ると、そうした切り替えがより明確になっているようだ。

【動画】汰木&佐々木弾で神戸が2-0勝利!

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