「東北のため、秋田のため」熊林親吾の新たなる挑戦はブラウブリッツU-18監督から

2016年03月22日 小林健志

「プロ選手だった自分と置き換えながら選手を育てていきたい」

昨季、地元の秋田で現役を退いた熊林監督。今季からU-18監督として、後進の指導に当たっている。写真:小林健志

 多くのサッカーファンを魅了してきた秋田出身のMF・熊林親吾。秋田商高からジュビロ磐田に加入後、湘南ベルマーレ、横浜F・マリノス、ベガルタ仙台、徳島ヴォルティス、ザスパ草津(現・群馬)で活躍。2013年には地元のブラウブリッツ秋田に加入し、昨シーズンをもって16年間の現役生活にピリオドを打った。
 
 そして今年秋田U-18の監督に就任。弱冠34歳の若き青年監督は、新たに踏み出した第一歩について、こう想いを述べた。
「選手時代から東北人魂の活動など、自分の夢にプラスして東北のために、秋田のためになにができるかを一番に考えてきて、この道を選びました。自分の最後の夢はトップチームの監督で、そうなるためのチャンスをクラブがくれました。指導者1年目から監督にはなかなかなれないと思いますので、感謝しながらやっていきたいと思います」
 
 秋田はJ3クラブのなかでも、とりわけ育成に力を入れている。U-15一期生が中学3年生となった2013年に日本クラブユースサッカー選手権(U-15)東北大会で準優勝。全国大会初出場を果たした。
 
 そのU-15一期生の多くが昇格したU-18一期生は今年高校3年生となり、高円宮杯U-18サッカーリーグ秋田県リーグ優勝、プリンスリーグ東北昇格、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の全国大会初出場に向け、重要な年となる。
 
 期待のかかる世代だが、熊林監督は初めて選手たちと対峙し、「フラットな目で見て厳しい」と思ったという
「レベルどうこうではなく、個人個人がサッカー選手としてサッカーをしていないと思いました」
 
 そのような印象を受けた選手たちに、新人監督が求めるものとはなんなのだろうか。
「ユースにいる間にサッカー云々よりも、人として楽しさと厳しさをもっともっと感じてほしい。今の子どもたちは厳しさが足りなくて、例えば『考えていますよ』と言っていても、本当に考えているのかなと疑問に思います。そうしたところにアプローチしながら、プロ選手だった自分とも置き換えながら選手を育てていきたいですね」
 技術指導のみならず、人間的な成長に心を砕いている。
 

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