【大宮】J2王者がJ1王者に突き付けられた現実。チャンピオンの“授業”を復習せよ

2016年03月21日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

1トップ+2シャドーに翻弄され、堅守は脆くも決壊した。

1トップに入った浅野(10番)の裏へ抜ける動き、そして2シャドーに翻弄された大宮守備陣。ズレを生じさせられて、前半だけで2失点を喫した。写真:徳原隆元

 Jリーグ開幕から4試合中3試合でACL出場組と戦う、怒涛の1か月が幕を閉じた。結果は2勝2敗のイーブン。対戦相手を考えれば悪くはないはず。だが、チーム史上初となるJ1での開幕2連勝で勝点6を積み上げたものの、内容は指揮官からも選手からも「納得」の声は出なかった。

 特にJ2王者として、J1王者をホームで迎え撃った4節の広島戦は「やはりチャンピオンチーム。この4試合のなかでも、(広島は)抜群に強かった」(塩田)。前半に2点、後半に3点を叩きまれた「実力の差が出た」(横山)試合は、渋谷監督の言葉を借りるまでもなく惨敗となり、否が応にも切り替えなければならなくなった。

【J1 PHOTOハイライト】1stステージ・4節 大宮 1-5 広島

 試合開始直後から大宮はアグレッシブだった。「攻守に主導権を握る」自分たちのサッカーを体現するため、全員が連動してハードワーク。4-4-2のブロックをコンパクトに敷き、さらに高く保ってパスの出し手にも受け手にも制限を掛けようとした。

 だが、1トップに入った"ジャガー"こと快速FW浅野の存在が思った以上に厄介だった。オフサイドになったシーンも含めて、幾度となく最終ラインの裏を狙われた。もしタイミング良く抜け出されれば追い付けるはずもなく、まさに致命傷と同義。河本と福田の両CBは勇気を持った高いライン設定とボールへのアタックに、徐々に迷いを見せるようになる。結果として、これが5失点の引き金となった。

 警戒すべきは浅野だけではない。その下で最終ラインと中盤にできるスペースへ巧みに入り込む2シャドーがいる。しかし、河本と福田には浅野の姿がチラつく。チャレンジ&カバーでどちらかがアタックして、もしワンタッチでその隙間を使われたら……。それでも自由を与えるわけにはいかず寄せたわけだが、躊躇があり、その一瞬が相手に簡単にプレーする時間を与えた。
 
「2シャドーを上手く使われた。ボールホルダーがある程度フリーだったから、走り込む選手にも良いボールを供給された。追い込み方がハマってなかった」(横山)

 22分、執拗にその穴を突いてくる攻撃に堤防が決壊する。広島の塩谷が沼田、泉澤、横山の間に入ったP・ウタカにパス。ワントラップで前を向かれため、河本はカバーに入るしかなく、前へと引っ張り出された。そこへダイアゴナルランで侵入した浅野を活かすボールが出ると、福田が対応するしかない。

 連鎖反応によってポッカリと口を空けたベストスポットにP・ウタカが走り込んで先制ゴールを決めた。右SBに入った和田がズレを埋めようとしたが、逆サイドでは柴﨑と柏がドフリー。どう足掻いても失点は免れないであろう、完璧に崩された場面だった。

次ページバランスを崩した攻撃で1ゴールを得るも、次が続かず。

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