[本田泰人の眼]毎熊の台頭で「穴」が「武器」と化した。勝負のイラン戦、最大のポイントは三笘の起用法だ【アジア杯】

2024年02月03日 本田泰人

守備もパーフェクト

状況に応じて、選択すべきプレーが毎熊は的確だ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 アジアカップで3大会ぶり5度目の優勝に向けて、日本がバーレーン戦で2つの「自信」を手にした。

 1つ目は右サイドだ。グループステージで「穴」だった日本の右サイドは、バーレーン戦では「武器」と化した。その理由は毎熊晟矢の台頭なくして語れない。

 堂安律、久保建英のコンビに毎熊が加わったトライアングルで、日本は立ち上がりから何度も右のポケットを攻略。32分には、毎熊の迷いのないミドルシュートがポストに跳ね返り、こぼれ球を堂安が流し込んで先制点を奪った。

 毎熊と菅原由勢との違いは、「相手に合わせるプレー」だ。堂安がボールを持った時、どのタイミングで動くべきか、どこのポジションにいるべきか。状況に応じて、選択すべきプレーが毎熊は的確だ。

 たとえば、堂安の得意なプレーの1つは、右サイドでボールを受けてからのカットイン。その良さを引き出すために、毎熊が囮となって堂安の外側を回って走り出す。タイミングの良いオーバーラップがあるから、堂安にはカットイン、クロスという2つの選択肢が生まれる。毎熊の存在によってイキイキとプレーできるようになった。

 守備もパーフェクトに近い出来だった。攻め上がるタイミングも良いし、戻りも早い。相手のカウンターに対してファウル覚悟で食い止めたシーンではイエローカードをもらったが、流れを止めた判断も間違っていない。最後まで足が止まらなかったタフさも見せた。

 インドネシア戦に続くスタメン起用で、巡ってきたチャンスをモノにした毎熊自身は、大きな自信をつけたはずだ。

 一方、左サイドバックの中山雄太には不安が残る。毎熊とは違い、「相手に合わせるプレー」ができていない。だから、左サイドMFの中村敬斗がストレスを感じながらプレーしているように見える。
 
 中村の特徴を考えると、伊藤洋輝のように、後ろからフォローする、ボールをつけたらオーバーラップするといったシンプルなプレーに徹したほうが、彼の良さが活きる。

 攻撃は"阿吽の呼吸"が大事だが、中山の場合、菅原と同じくパスを出すタイミング、動き出しのタイミング、サポートするタイミング...すべてのタイミングが周りと合っていない。

 最も警戒していたセットプレーでボールウォッチャーとなって、相手に簡単にヘディングを許し、失点に関与したのも減点材料だ。

 インドネシア戦、バーレーン戦の2戦で、日本のサイドバックは毎熊と中山がスタメン出場したが、右と左で完全に明暗が分かれた。

 日本が手にした自信の2つ目は、上田綺世だ。

 大迫勇也以降、ストライカー不在が課題の1つだったが、インドネシア戦に続いて、上田はバーレーン戦でも久保や堂安との好連係を見せた。72分には強引な突破からエリア内に侵入して、鋭いシュートを突き刺した。1点差とされたなかでのゴールは非常に価値がある。

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