アジアカップ優勝を見据え、“日替わりヒーロー”が出てくれば理想的。悔しさ募る浅野拓磨は「ポジティブなパワーに変えていけたら」と意欲

2024年02月02日 元川悦子

「頑張ります」と笑顔

大一番にめっぽう強い浅野。イラン戦でヒーローになれるか。写真:サッカーダイジェスト(現地特派)

 現地1月31日、カタールで開催されているアジアカップのラウンド16でバーレーンに3-1で勝利し、順当に準々決勝へと駒を進めた日本代表。中2日の超過密日程のなか、迎える相手は"アジア最強"とも評されるイランだ。

 イランはラウンド16でシリアと対峙し、延長・PK戦まで戦い、ギリギリのところで勝利したが、消耗は非常に激しい。加えて、攻撃の絶対的存在であるメフディ・タレミが退場で日本戦は出場停止。守備陣に怪我人も複数抱えていて、状況的にはかなり厳しいと見られる。

 しかしながら、日本の方も旗手怜央(セルティック)の右ふくらはぎ負傷に加え、板倉滉(ボルシアMG)が左足を打撲。状態が不安視される。一部報道の影響で扱いが二転三転している伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)はこれまで通りに使えないだろう。

 グループステージ第3節のインドネシア戦以降、堂安律(フライブルク)が好調で、右サイドの迫力が急激に低下することはなさそうだが、やはり"右の槍"を失うのは痛い。森保一監督も選手をどうやり繰りすべきか、考えを巡らせているはずだ。

 決勝トーナメント以降は、様々なアクシデントが起きるのが常。固定メンバーだけで乗り切るのは難しい。バーレーン戦であれば、途中から出場した三笘薫(ブライトン)や南野拓実(モナコ)、浅野拓磨(ボーフム)といったジョーカーが攻撃に活力を与えたが、ここから先も日替わりヒーローが出現する形になれば、日本としてはポジティブだ。
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「ヒーローは毎回毎回、変わっても変わらなくてもどっちでもいいんですけど、ただ、『全員がヒーローになる』っていう強気な気持ちでいかないと勝てないと思いますし、日本代表自体がそういう選手の集まり。

 今、僕は自分が活躍できていない悔しさが募っているので、ポジティブなパワーに変えていけたらいいと思います」と、バーレーン戦では三笘からの決定機なパスを決め損ねた浅野は、次こそカタール・ワールドカップのドイツ戦のような大仕事をしてみせる構えだ。

 日本が4度目のアジア王者に輝いた2011年カタール大会を振り返っても、準々決勝のカタール戦では伊野波雅彦、準決勝の韓国戦では細貝萌(群馬)、決勝のオーストラリア戦では李忠成と、主力級以外の面々が次々とゴール。日本を勝たせてきた。

 とりわけ、李の決勝弾は森保監督も「自分が外から見ていたアジアカップの中で、最も印象的だったシーン」とかつての教え子を絶賛していた。

 同じくサンフレッチェ出身の浅野も、その系譜を継ぐべき存在。本人に「李忠成の次は浅野拓磨?」と水を向けると「頑張ります」と笑顔をのぞかせたが、大一番にめっぽう強い男が、日本の救世主になる可能性は大いにあるのだ。

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