[本田泰人の眼]右SBの最適解は毎熊だ。バーレーン戦で今一度、「強い日本」を示したい【アジア杯】

2024年01月29日 本田泰人

責任を全うした堂安がMVP

インドネシア戦で初スタメンの毎熊。安定したパフォーマンスを見せてくれた。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部/現地特派)

 1月31日に、いよいよ日本の決勝トーナメントが始まる。ラウンド16の相手は中東のバーレーンだ。負けたら終わり。ここからが、まさに本当の戦いだ。

 グループステージで日本は苦しい戦いを強いられたが、第3戦のインドネシア戦(3-1)では「初心」を取り戻し、積極的な姿勢で勝利した。セットプレー(ロングスロー)から失点する課題は残ったものの、チームとしてどう戦うべきか、という原点回帰ができた点で評価できる。

 インドネシアはグループ内で最弱だったが、インドネシア戦勝利の最大の価値は、イラク戦の敗戦によって生まれたチームの悪い雰囲気を払拭できたことだ。

 悪い流れを断ち切る一番の特効薬は、メンバー交代だ。

 実際、日本はイラク戦からスタメンを8人、入れ替えて挑み、強度の高いプレスと攻守の連動性でインドネシアを圧倒した。パスミスこそ多かったものの、この試合では日の丸を背負って必死に戦うという最低限の姿勢をみんなが見せてくれた。

 インドネシア戦で「今日の日本は違うな」「必死さが伝わるな」と最も感じさせた選手が、堂安律だ。

 1、2戦目とも途中出場で、3戦目で初スタメンとなったが、10番を背負う立場からすれば、「最初から俺をスタメンで使ってくれ」と思っていたに違いない。

 その感情をぶつけるかのように、前線から激しいプレスを繰り返して守備に貢献。攻撃では、開始2分でカットインから上田綺世へのスルーパスを送って、上田のPK獲得をお膳立て。51分にも中村敬斗とのパス交換から抜け出して、ゴール前へクロス。上田の2点目をアシストした。
【PHOTO】アジアカップ2023を彩る各国美女サポーターを特集!
 プレー以上に、試合後のコメントからも気持ちが伝わってくる。

「戦術どうこうじゃなく、球際だったり、気持ちの部分だと思っていた」
「エンブレムを持って戦っているので、誇りを胸に戦った」

 たとえそれがパフォーマンスだったとしても、チームが悪い状況で自ら奮い立たせて、先陣を切ってチームを鼓舞した姿勢を高く評価したい。そういう意味で、インドネシア戦ではプレーとメンタルの部分で「これぞ10番」の責任を全うした彼がMVPだ。

 選手交代によって断ち切れたのは、チームの悪い雰囲気だけではない。右サイドバックの課題も解消されたことは大きい。

 ベトナム戦でもイラク戦でも、右サイドバックの菅原由勢の軽率なプレーが目立った。この問題が解消されなければ、日本の優勝はありえないと思っていた。それだけに、インドネシア戦で初スタメンの毎熊晟矢がしっかりと安定したパフォーマンスを見せてくれて、正直ホッとしている。

 サイドバックのセオリーは、まずは守備から入ること。何度も言うけど、サイドのバック(=ディフェンダー)は、無闇にボールのあるラインから前に上がってはダメだ。

 常にボールを前で見る、たとえ上がってもボールより前に行かない。センターのバック(=ディフェンダー)がカウンターのリスクを考えず、何でもかんでも上がっていくことを想像すれば、分かりやすいだろう。

 毎熊は菅原よりもポジショニング感覚に優れ、守備意識も高いから、戻りが早い。元々フォワードの選手ということもあって、前の選手がどこで、どのタイミングで欲しいのか理解しているから、パスの精度も良い。オーバーラップを仕掛けるタイミングも菅原より良い。

【PHOTO】日本代表のインドネシア戦出場16選手&監督の採点・寸評。5人が7点台の高評価。全得点に絡んだ9番をMOMに選出

次ページバーレーンに負けるイメージはない

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事