「僕はミシャさんとは逆」バランス重視の横浜FC・四方田監督、それでも「大胆になることの重要性も頭に叩き込んでいる」

2024年01月26日 元川悦子

23シーズン、序盤の苦悩

横浜FCで就任3年目を迎える四方田監督。J1復帰に強い意気込みを見せる。写真:永島裕基

「2023年はチームとしての成長を感じましたが、J1残留を掴めず、私自身の力不足を感じました。1年でのJ1復帰を最大の目標として新シーズンに全力で取り組みます。

 ここ数年、昇格と降格を繰り返している我々にとって、J1定着は直面している一番の課題。J1定着できるような基盤をしっかり作っていくことも現場として考えていきます」

 1月7日の新体制発表会で、横浜FCの四方田修平監督は力強くこう宣言した。

 約20年間働いた北海道コンサドーレ札幌を離れ、彼が横浜FCに赴いたのは2022年。1年でJ2降格を余儀なくされた横浜FCの昇格請負人として招聘され、実際に同年2位に滑り込んで最高峰リーグ復帰を達成。その結果のみならず、伸び悩んでいた東京五輪世代のFW小川航基(現NECナイメンヘン)をブレイクさせるなど、卓越した手腕を発揮した。

 そして勝負の2023年を迎えたが、横浜FCは開幕から10戦未勝利というまさかの苦境に陥り、最下位に低迷。いきなり降格危機に瀕することになったのだ。

「シーズン初勝利は5月のアルビレックス新潟戦でしたけど、勝てなかった10試合もずっと同じやり方で戦ったわけじゃなくて、変化や工夫を試みました。課題が出るたび一つひとつ改善させ、手応えは感じたんですが、また違った課題が出るという繰り返しで、3分7敗というところまで来てしまった。

 そうなると抜本的に何かを変えないといけない。その段階では失点が非常に多かったので、フォーメーションを4バックから5バック(3バック)に移行し、守備的な戦いをベースにしたんです」と、四方田監督は序盤の苦悩を打ち明ける。
 
 そこからチーム状態が少しずつ上向き、川崎フロンターレやヴィッセル神戸、横浜F・マリノスなどに勝利。名古屋グランパスや浦和レッズにも引き分けるなど、上位陣とも互角以上の戦いを見せられるようにもなった。

「ただ、良い試合が持続できなかった。今のJ1は実力的に拮抗していて、どこにもチャンスがあるリーグ。僕らも『勝てそうだな』という試合はいくつもありましたけど、安定感のある戦いができなかったですね。

『夏に小川が抜けた影響が大きかった』とも言われますけど、必ずしもそうではない。確かに1人で量産する人間はいなくなりましたが、いろんな選手が取るようになって総得点は増えた。前向きな感触は抱いていたんです。

 だからこそ、33節の湘南ベルマーレ戦(0-1)に勝ちたかった。あそこが大きな分かれ目になったのは確か。本当に監督としての実力不足を強く感じました」と、四方田監督は悔しさを滲ませる。

 こうしたなか、2024年は再びJ1を目ざす戦いに向かうわけだが、山下諒也(→G大阪)、坂本亘基(→山形)、マルセロ・ヒアン(→鳥栖)ら昨季の主力級が引き抜かれ、パリ五輪世代の近藤友喜(→札幌)も移籍。期限付き移籍なども含め、合計20人もの選手がチームを去った。

 一方で、四方田監督と札幌時代に共闘した福森晃斗と中野嘉大、昨季J2で13ゴールを挙げた成長株の森海渡、パリ五輪世代の大型FW櫻川ソロモンら13人が加わることになった。

「2023年は新加入が20人くらいいましたから、それに比べるとまだ少ないですよ」と四方田監督は笑顔を見せたが、それでも多数の新戦力を融合させながらの新たなチーム作りは難易度が高いだろう。

【PHOTO】J1復帰へ向け横浜FCが新体制を発表!

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