【神戸】「守備はできた」の言葉があまりに寂しい。前節6ゴールも攻撃面に影を落とす二枚看板の穴

2016年03月12日 本田健介(サッカーダイジェスト)

決定機は0と、攻撃面でまったく良い形を作れず。

伊野波(右)をはじめ守備面での手応えを口にした神戸の選手たちだが、一方で奪った後の攻撃には大きな課題を残した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「守備はプラン通りにできた」
 
 88分に決勝ゴールを許し、0-1で敗れたFC東京戦をネルシーニョ監督はそう評した。
 
「後ろはある程度マークをハメられたし、タイトにできた」(伊野波)
「守備に関しては手応えを得られた」(藤田)
 
 選手たちも口を揃え、「最悪0-0で終わらなければいけない試合だった」(岩波)というのが正直な気持ちだったのだろう。
 
 キャンプから取り組んできた4-3-3で臨んだFC東京戦は最終ラインとアンカーの村松、インサイドハーフの前田、藤田が連係して守備ブロックを形成し、FC東京の攻めを阻んだ。相手の組み立て、崩しの拙さに助けられた部分もあったが、終了間際の阿部の決勝ゴールまでは大きく崩される場面はなかったと言える。
 
ただ、問題は「奪ってからが良くなかった」(ネルシーニョ)攻撃にある。試合を通して作り出した決定機は0。「シュートらしいシュートがなかった」(岩波)と、得点を奪うための要素は非常に乏しかった。
 
狙いとしたのは「スピーディな攻め」(ネルシーニョ監督)だが、最終ラインから縦にボールを出そうにも中盤、前線の動きが少なく、効果的なパスを入れられず。4バック間で右往左往のやり取りが続き、結局はロングボールを放り込むシーンが目立った。
 
今季加入し、攻守の橋渡し役を務める藤田は反省点をこう語る。
 
「(インサイドハーフの)自分と前田が相手のボランチを引っ張って、(アンカーの)村松とSBで数的優位を作ってポゼッションをする。本来はそこに自分と前田が下りて、上手く関わりたかった。村松と僕らの距離感が良く、お互いに前を向いてプレーできれば、自ずと(1トップの)レアンドロへのクサビのコースも生まれる。でも今日の試合は東京の中盤がタイトで、奪った後のボールを下げ過ぎた。前につける勇気がなかった」
 
 

次ページ打開策としては守備の強度を高め、カウンターの鋭さを増すしかない。

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