【今日の誕生日】3月11日/サッカーの枠を超えた母国の英雄 & W杯で最も美しいゴールを挙げた男――ドログバ etc.

2016年03月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

母国を初のW杯出場に導いた男は、母国の和平にも尽力した。

30代半ばになっても抜群の空中戦の強さとポストワークの上手さを誇ったドログバ。写真は日本にとって“悪夢”の14年W杯。 (C) Getty Images

◇ディディエ・ドログバ:1978年3月11コートジボワール・アビジャン出身
 
 日本人にとっては、苦い思い出を蘇らせる存在かもしれない。
 
 2014年ブラジル・ワールドカップのコートジボワール戦、本田圭佑の先制ゴールでリードを奪った日本代表だったが、後半17分にこの男が登場してから流れは変わり、その後、2失点を喫して敗北。ここからグループリーグ敗退の道を進んでいくこととなった。
 
 一方、コートジボワールにとって、彼は救世主となった。2006年ドイツW杯で本大会初出場の原動力となった彼は国の英雄ではあったが、ブラジルW杯時は36歳。さすがに全盛期を過ぎ、多くは望めないと思われたが、彼の存在がチームの雰囲気を変え、勢いを与えたのである。
 
 ディディエ・ドログバは、コートジボワールではサッカーの枠を超えた偉大な存在である。
 
 5歳でフランスに移り住んだ彼は、欧州で人生の大半を過ごしている。98年にル・マンでプロデビューし、ギャンガンを経て2003年にマルセイユに移籍。ここでの国内外における活躍が、ドログバの名を欧州中に広め、翌年、50億円近い移籍金を置き土産に、彼はプレミアの強豪チェルシーの一員となった。
 
 計9シーズンを過ごしたこのクラブでは、プレミアリーグ4回、FAカップ4回を制し、2011-12シーズンにはチャンピオンズ・リーグでも優勝を果たした。個人でも2度のリーグ得点王に輝いている。
 
 その後、中国の上海申花、トルコのガラタサライ、チェルシー復帰を経て、昨年からMLSのモントリオール・インパクトに在籍するドログバは、コートジボワール代表として104試合に出場し、65点を挙げた。
 
 ワールドカップには3大会に出場し、06年大会では初戦のアルゼンチン戦でゴールを記録。コートジボワールの英雄として、ワールドカップで同国最初のスコアラーとなる栄誉を手にした。
 
 サッカーの世界で数々の実績を上げ、多くの人々からの信頼を得ると、人格者であるドログバは、それをコートジボワールの和平にも活かそうとした。内戦や政情不安に対して声明を発し、それが実際に停戦に結び付いたりもしているのだから凄い。
 
 今日で38歳。現役選手としてのキャリアは終焉に近づいているが、ピッチを降りてからも、彼には英雄ゆえに果たすべき仕事がこれからも多く待ち受けている。

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