「信じられない」指揮官アンチェロッティも嘆いたミリトン、クルトワに続くアラバの大怪我。マドリーは緊急事態にどう手を打つのか?【番記者コラム】

2024年01月05日 エル・パイス紙

CBはまさに火の車状態

やり繰り上手のアンチェロッティはこの苦難を乗り越えられるか。(C)Getty Images

 レアル・マドリーが4-1で勝利したビジャレアル戦(ラ・リーガ第17節)後の記者会見で、椅子に座って質問に答えるカルロ・アンチェロッティ監督はすでに今シーズンいっぱいダビド・アラバ抜きで戦わなければならないことを覚悟していた。

 同時に後半戦に向けてトップクラスのCBを新たに獲得しなければならない必要性を強く感じていた。しかしその点について質問されると「何ができるか見てみよう」と言葉を濁した。

 マドリーのCBはまさに火の車状態だ。エデル・ミリトンが、ラ・リーガ開幕戦のアスレティック・ビルバオ戦でアルバと同じく左膝の十字靭帯を断裂。その3日後に手術を受けた。ちなみに同じ日に同じ医師に、同じ膝の負傷でティボ・クルトワも手術を行った。ミリトンは順調に回復しているが、復帰は早くても4月の見込みだ。

 裏を返せば、健康体のCBは、アントニオ・リュディガーとナチョだけ。年明けからそのミリトンの復帰見込み時期までマドリーは最大で23試合消化する予定だ。その中にはチャンピオンズリーグのラウンド16(相手はRBライプツィヒ)など重要な試合も含まれる。

「こんなことは初めてだ。4か月で3度目の十字靭帯の断裂とはね。信じられないよ」。この異常事態に、アンチェロッティ監督の口からも驚きの言葉が出た。救いは、オーレリアン・チュアメニの復帰だ。今シーズンもオサスナ戦(ラ・リーガ第9節)でCBとしてプレーしたことがあり、指揮官も「対応できる」と語る。

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 ビジャレアル戦の翌日、他の選手がオフの中、アラバは午前中にシウダ・デポルティーバ(練習場)を訪問。治療法についてクラブのドクターと話し合った。全治8か月と見込まれており、今シーズンの残りの試合はもちろん、来年6月から7月にかけてドイツで開催されるEUROの出場も絶望的となった。

 今後の焦点は、代役を獲得するかどうかだ。クラブ内では、新戦力を獲得するか、レンタル移籍の可能性を探るか、あるいは現有維持のままで戦うのか、議論が行われている。

 もちろん怖いのはさらなる怪我人の発生だ。おまけにCBはカードをもらいやすいポジションでもある。そんな中、フロントが決断を躊躇しているのは、クルトワの負傷後、迅速に動いて獲得したケパクラスの、低コストで実力派のCBが市場に見当たらないと考えているからでもある。

 昨シーズン、左SBに適応したエドゥアルド・カマビンガに代表されるように、マドリーは怪我人が続出する中、戦力をやり繰りしながら、結果を残してきた。

「我々がここまでやれるとはみんな思っていなかっただろう。このチームは、困難な状況を持ちこたえながら戦い、良いプレーを見せてきた。怪我人の穴を埋める唯一の方法は、こうしたコミットする姿勢を持ち続けることだ」

 アンチェロッティがこう強調するように、1月の補強の行方の如何に関わらず、後半戦も選手たちの献身性が手負いのチームを支える原動力となりそうだ。

文●ダビド・アルバレス(エル・パイス紙レアル・マドリー番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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