「ベスト8の壁を超えます!」堀越の主将FW中村健太が1年前の“約束”を果たす! 偉大なOBに少しでも近づくために...【選手権】

2024年01月05日 松尾祐希

重圧と戦ってきたキャプテンが明かした想い

堀越のキャプテン中村(中央)。準々決勝の佐賀東戦では、芸術的なミドルで先制ゴールを挙げた。写真:永島裕基

[高校選手権 準々決勝]堀越(東京A)2-1 佐賀東(佐賀)/1月4日/柏の葉

 今から1年前、堀越の新キャプテンに就任した中村健太(3年)は学校のグラウンドにいた。選手権出場を逃したチームは再始動したばかり。OBなども参加する初蹴りで、偉大な先輩と言葉を交わしていた。

 その相手は日野翔太。堀越では背番号10を背負い、キャプテンマークを巻いて2020年度の選手権でチームを過去最高成績のベスト8に導いた。現在は拓殖大に席を置き、2025年からのサガン鳥栖への加入が内定。すでに特別指定選手としてJ1デビューを飾っている。昨季はパリ五輪を目ざす世代の代表にも選出された先輩に対し、初蹴りの場で中村はこんな言葉を残したという。

「今年は選手権に出場して、ベスト8の壁を超えます!」

 日野の目の前で威勢よく決意表明をした中村だったのだが、ここからが苦悩の始まりだった。チームは開幕から苦戦し、夏のインターハイ予選の前哨戦となる関東大会は東京都予選の準々決勝で敗退。続くインターハイ予選も2回戦で敗れた。ボトムアップでチームを強化するため、指揮を執るひとりの中村は人知れず悩んでいたという。
 
「一番大変だったのは、チームをどういう方向に持っていくべきかでした。そこがめちゃくちゃキツくて、負け続けた時期はどうやって勝てばいいのか、毎日のように悩んでいた。メンバー選考もそうだし、自分の伝え方も直さないといけないなと思ったし…」

 さらに負けが込んでいた8月に、中村は左足首の靭帯を負傷。また重度の捻挫で2か月ほど戦列を離れた。この怪我もチームをまとめるうえで、大きな問題になったという。

「リーグ戦で2連敗しているタイミングで怪我をして、そこからチームに携われなかったんです。自分がプレーしていれば状況を変えられたかもしれないけど、やっぱりプレーせずに言葉だけでまとめるのは本当にきつかった」

 そして、迎えた選手権予選。チームは3バックをやめ、春に採用していた4バックに戻してから状態が上向いていた。手応えを掴みつつあるなかで都予選を見事に勝ち抜け、全国大会に挑む権利を得る。だが、これで終わりではない。先輩たちを越えるための挑戦はここからが本当のスタートだった。
【厳選ショット】中村健太の鮮烈ゴラッソなどで堀越が史上初のベスト4進出!|選手権準々決勝 堀越2-1佐賀東
 

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