「市船はサイドバックから始まる」超名門の左サイドに“パワーシューター”あり! 星稜戦、名刺代わりのゴラッソで異彩を放つ【選手権】

2024年01月03日 安藤隆人

「じゃあ自分は何が凄いのか、と自問自答する日々がありました」

攻守両面で冴えをみせる内川。市船が誇る大会屈指の左サイドバックだ。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権3回戦]市立船橋(千葉) 4-1 星稜(石川)/1月2日/柏の葉

「凛音が決めたのだから、俺も」

 気持ちの表われだった。選手権3回戦、市立船橋は星稜を4-1で下して準々決勝進出を決めた。この試合で貴重な先制弾を決めたのは、左サイドバックの内川遼(3年)だった。

 前半18分、左サイドでMF森駿人(3年)からパスをもらうと、左足で中央へクロス。これはDFに弾かれたが、そのボールが再び自分の元に帰ってきた。内川はボールに向かって加速すると、ペナルティエリア内左角から迷わず左足を一閃。左足アウトサイドにかける難しいシュートだったが、しなやかなスイングで振り抜いたボールはゴール右隅に突き刺さった。

 内川は昨季から不動の左サイドバックで、高い守備力はもちろん、強烈な左足の一撃を持つパワーシューターでもある。インターハイ2回戦の大津戦では左サイド、ゴールまで25メートルの位置から目の覚めるようスーパーミドルを弾丸ライナーで突き刺したが、この試合のゴールも距離こそ近いが、あの時を彷彿させるような左足のパワーショットだった。
 
 今大会、同じく昨季からサイドバックでコンビを組んできた右の佐藤凛音(3年)が、2回戦の帝京長岡との大一番で先制弾を挙げた。このゴールが大きな呼び水となったと内川は言う。

「凛音はずっとサイドバックとして一緒にやってきて、心から尊敬できる仲間であり、絶対に負けたくないライバル。2回戦であの緊迫した場面できっちりとゴール隅に決め切る力は凄いと思ったし、心からチームを救うゴールだと思ったので、『逆のサイドバックがやってくれているんだから、俺もサイドバックとしてチームを救うゴールを決める』と自分の決意にもなりました」

 ずっと切磋琢磨をしてきた佐藤がいたからこそ、生まれたファインゴールだった。

 内川がU-17日本代表候補に選ばれた時は、佐藤が「悔しさと『あいつなら当然』という気持ちがあった。逆サイドで遼が活躍してくれるからこそ、僕も奮い立つ」と口にしていた。一方の内川は、夏を境に佐藤がさらに成長を見せた際に「凛音は本当に上手いし、守備が凄い。『じゃあ自分は何が凄いのか』と自問自答する日々がありました」と吐露。自分のストロングを見つめ直すチャンスを与えてもらった。

「親からもらった身体能力と、もともと積極的な性格だと思うので、そこを前面に出していくこと。思い切りの良いプレーが自分の持ち味だと思いました」

【動画】市立船橋の左SB内川遼が星稜戦で決めた"左足ゴラッソ"をチェック!

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