守備も攻撃同様、手探りでプレー。形や連係が整ってきた今の森保ジャパンに途中から入るのは、思った以上に大変かもしれない

2024年01月02日 清水英斗

攻撃が全体的に強引すぎた

伊藤涼は巧みに縦パスを引き取ったが、受けた後が続かなかった。(C)SOCCER DIGEST

 2024年元日に行なわれた国際親善試合の日本代表対タイ代表は、5-0で日本が勝利を収めた。

 終わってみれば大勝だが、今試合がデビューとなる選手や、A代表キャップ数の少ない選手が多く出場したため、特に前半は連係乏しく苦戦した。決定機を逃した影響もあるが、チャンス自体が乏しかった。

 5点を奪ったのは、すべて後半だ。前後半の攻撃内容を比べると、チームとしての形の差は明らかだった。

 両ウイングの幅取りをベースに、縦への突破あるいはハーフスペースへの飛び出しやワンツーで、相手ペナルティエリアの角を突く。角取りに成功したら、真ん中と逆サイドが呼応し、鋭くゴール前へ詰める。この第二次森保ジャパンのセオリーとも言える攻撃を繰り返した後半は、タイを圧倒した。

 ところが、前半はこのような攻撃の形が無い。トップ下の伊藤涼太郎は、相手ブロックのすき間で巧みに縦パスを引き取ったが、受けた後が続かない。フリーで前を向き、相手を巧みにかわしても、その後は連係に詰まって拠所なくボールを持ち続ける姿が目についた。
 
 周りの動きを含め、相手ゴールへ直線的に突撃するばかりで、タイの守備陣に集結してスペースを消されると手詰まり。攻撃が全体的に強引すぎた。

 一方、前半の途中から右サイドでは変化があり、伊東純也がそれまで中寄りだった立ち位置を外へ移し、毎熊晟矢と共に右サイドの崩しを重点的に行なった。タイのSBを外へ釣り出せば、CBとの間にスペースが空く。通常の森保ジャパンの攻めに立ち返った。

 しかし、右サイドで背後を取った際の真ん中や左サイドの詰めは、後半と比べれば遅い。中村敬斗らが後半に実践したように、相手GKとDFの間へ鋭く出て行く選手がおらず、迫力が今ひとつ出なかった。

 個々の選手が持ち味を見せる場面はあった。しかし、チームの文脈との絡みが無いため、攻撃の一つひとつが単発に留まった。形や連係が整ってきた今の森保ジャパンに途中から入るのは、思った以上に大変かもしれない。

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