好タレント揃いの神村学園に“新たな才能”が台頭! CB→ボランチ転向からわずか3戦目で特大のポテンシャルを示す!【選手権】

2023年12月31日 松尾祐希

小学校4年生の時には陸上の100m走で沖縄県1位に

攻守両面で異彩を放った新垣。覚えておきたい新鋭ボランチだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権2回戦]神村学園(鹿児島) 2-0 松本国際(長野)/12月31日/三ッ沢

 福田師王(現ボルシアMG)らを輩出してきた神村学園に、またひとり面白いタレントが現われた。中盤の底でプレーするMF新垣陽盛(2年)だ。

 しなやかで強い。球際の勝負に強く、競り合いも得意。それでいて、ボールを運ぶ能力や展開力も持ち合わせており、ボックス・トゥ・ボックスで仕事ができるタイプのボランチである。

 初戦となった松本国際戦でもポテンシャルを余すことなく発揮した。中盤でタフに戦い、ボールを刈り取る。そこからの攻撃参加もスムーズで一気にギアを上げ、ペナルティエリア付近までボールを運んでチャンスを作り出した。最大の見せ場は前半8分。ハーフウェーライン付近でボールを受けると、ワントラップで持ち運び、右サイドに流れてきたFW西丸道人(3年/仙台入団内定)にスルーパスを通した。ペナルティエリアの角に向けてボールを配球すると、これを受けた西丸が折り返して、最後はMF名和田我空(2年)が流し込んだ。

 先制点の起点を作った新垣はその後も中盤で潰し役を担いつつ、攻撃センスを発揮。後半は守備に奔走する時間が長かったものの、試合を通じて安定したパフォーマンスで勝利に貢献した。
 
 小学校卒業後に単身で鹿児島に乗り込んだ新垣は沖縄県の出身。父はサッカー経験者で現在も高校サッカーで指揮を執っており、沖縄県の知念高ではFW知念慶(現鹿島)を指導した経験を持つ。そんな父とバスケットボールに興じていた母から授かった運動能力は幼い頃から図抜けており、小学校4年生の時には陸上の100m走で県1位になった実績があるほど。恵まれたフィジカルを活かしたプレーを武器に頭角を表し、神村学園中時代から高い評価を受けてきた。

 センターラインのポジションであればどこでもこなし、中学3年生の9月には新たな才能を発掘する目的で実施されている2021タウンクラブ・中体連キャンプに参加。U-17日本代表の前監督である森山佳郎氏(現仙台監督)が率いた活動で刺激を受け、「そこからチャンスを掴んで代表に入ってやろうという想いでその後も頑張ってきた」(新垣)。

 そうした想いとは裏腹に、神村学園入学後はなかなかスポットライトを浴びる機会がなかった。主にCBとして起用されてきた一方で、同級生の名和田や1歳上のDF吉永夢希(3年/ヘンク入団内定)が世代別代表で活躍。その姿に悔しさを覚え、チームメイトに憧れる気持ちを持ちつつも年代別代表入りを目ざして努力を重ねてきた。

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