ボランチの“第4枠”を巡る熾烈な争い。佐野海舟? 川村拓夢? 伊藤涼太郎も候補の1人だ

2023年12月29日 元川悦子

第4枠はまだ混とんとしている状況

今季に鹿島でブレイクした佐野。タイ戦でアピールできればアジアカップのメンバー入りも見えてきそうだ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2024年の元日に国立競技場で行なわれるタイ戦に向け、12月28日から千葉県内で始動している日本代表。合宿2日目の29日には帰国が遅れていた町田浩樹(ユニオンSG)、伊藤涼太郎、鈴木彩艶(ともにシント=トロイデン)の3人が合流。軽めのメニューを消化した。

 伊藤洋輝(シュツットガルト)、浅野拓磨(ボーフム)、上田綺世(フェイエノールト)も別メニューが続いているが、それ以外のメンバーはゲーム形式などで追い込んでおり、コンディションは確実に上がっているようだ。

 こうしたなか、田中碧(デュッセルドルフ)、佐野海舟(鹿島)、川村拓夢(広島)のボランチ陣は悪くない動きを見せていた。特に佐野と川村の両国内組はオフ明けにもかかわらず、パンチ力のあるシュートを次々と放つ。アジアカップのメンバー入りにも強い意気込みをのぞかせていた。

 ご存じの通り、第二次森保ジャパンのボランチ陣では、キャプテンの遠藤航(リバプール)と守田英正(スポルティング)が鉄板。田中がバックアッパーの一番手で、第4枠はまだ混とんとしている状況だ。

 この1年間を見ると、今季に急成長した川村が6月シリーズで初招集されたが、体調不良で離脱。直後に追加で呼ばれた伊藤敦樹(浦和)が屈強なフィジカルと推進力で好アピールを見せ、定着の足掛かりを掴んだ。9月のトルコ戦では代表初ゴールをゲットするなど上り調子で、11月シリーズまで連続招集されていた。

 ところが、その直前に負傷。2026年北中米ワールドカップのアジア2次予選の初陣を棒に振ることになった。そこで抜擢されたのが、今季に鹿島でブレイクした佐野だった。ミャンマー戦で初キャップを飾った彼は、持ち前のデュエルの強さとボール奪取力を前面に押し出し、積極的にシュートも打ちに行くなど、非常に勢いのあるプレーを披露。今回も連続選出に至っている。
 
 つまり、現状では佐野、川村と、浦和のクラブ・ワールドカップ参戦のためタイ戦は回避となった伊藤敦の3人が、ボランチの第4枠を争う構図になっていると見ていい。

 とはいえ、森保一監督は必ずしも本職のボランチだけを候補者と位置付けているわけではない。これまでも、代表ではトップ下をメインにしている鎌田大地(ラツィオ)をボランチやインサイドハーフで起用することがあり、ユーリティリティな人材もOKというスタンスなのだ。

 その観点で言うと、シント=トロイデンでボランチを主戦場にしている伊藤涼は格好の人材。アルビレックス新潟時代はトップ下で数多くの得点を奪っており、攻撃能力の高さは折り紙付き。ボランチとしてもベルギーで戦っていけるだけの守備力や強度を備えつつある。

 彼と同じベルギーで活躍中の川辺駿(スタンダール・リエージュ)も同じ枠組みに入ってくる。そういった面々を含め、ボランチ第4枠をどうするのか。そこは目下、指揮官にとっての重要テーマと言っていい。

【PHOTO】SAMURAI BLUEのロンドにも参加!ロールモデルコーチとして日本代表に帯同する中村憲剛を特集!

次ページ攻守両面での安定感はマスト

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事