「79分やっていても最後の1分でサッカーは変わっちゃう」後半アディショナルタイムの劇的PKで決勝弾。佐賀東が丸岡との激闘を制す

2023年12月29日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

サッカーの難しさを痛感させられたゲーム

激しい攻防となった佐賀東と丸岡の一戦。大島(8番)のシュートは惜しくもゴールにならなかったが、見応えはあった。写真:早草紀子

 2023年12月29日に開催された第102回全国高校サッカー選手権大会の1回戦。味の素フィールド西が丘で行なわれたのは丸岡と佐賀東の一戦だ。

 立ち上がりから主導権を握ったのは丸岡だった。とにかく前へと進むスタイルで敵陣に進入し、ボールがタッチラインを割ればDF大藤航輝のロングスローからチャンスを演出。怒涛の攻撃で佐賀東を追い込んでいった。

 なかなかボールを握れない佐賀東はそれでもカウンターから反撃。16分にはMFでキャプテンの宮川昇太が強引かつスピーディなドリブル突破からゴール前に切り込み、味方のシュートに結び付けて決定機を作り出す。

 20分以降も試合展開は大きく変わらない。敵陣に素早くボールを運んで圧力をかける丸岡、速攻からあわやというシーンを創出する佐賀東。両校のスタンスがはっきりと見える前半だった。

 後半も激しい攻防となった。前半ほど丸岡イレブンの動きが軽快ではなく、佐賀東がボールを繋ぐシーンが増え、主導権を奪い合う展開となったのだ。57分に丸岡が絶好機を掴めば、66分には佐賀東が決定機を作るなど、両チームの勝利への執念を感じさせる戦いが続いた。
 
 そして、最後の最後にドラマは待っていた。後半のアディショナルタイム、佐賀東の江頭瀬南がエリア内でファウルをもらうと、それで得たPKを自らゴール右隅に蹴り込んで決勝点を奪ったのだ。ちなみに、PKのキッカーについて蒲原晶昭監督は「私は決めていません」と言った。選手自身の判断でもぎ取ったゴールでもあった。  

 劇的な幕切れとなった一戦のあと、丸岡の小阪康弘監督はこうコメントした。

「(前半からのプレッシングは)よくやったと思いますが、79分やっていても最後の1分でサッカーは変わっちゃうので、そこが難しいです」

 確かに、サッカーの難しさを痛感させられたゲームでもあった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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