「僕、静学ですと言えますね(笑)」流通経済大FW松永颯汰の変貌。テクニックとパワーの融合で、より怖いストライカーに

2023年12月24日 安藤隆人

相手の逆を取るドリブルを披露

コンバートをきっかけに“静学らしさ”を発揮する松永。写真:安藤隆人

 インカレ準決勝の京都産業大戦、流通経済大の2年生FW松永颯汰はスタメン出場を果たすと、立ち上がりからドリブル突破と鋭い裏への抜け出しでゴールに迫った。

 36分に先制を許した3分後には、スルーパスに抜け出した松永は、飛び出してきた京産大GK山本透衣(FC大阪内定)の体勢とタイミングを見計らって、左足インフロントで浮き球のテクニカルなシュート。同点弾を流し込んだ。

 さらに1-2で迎えた81分には、右からのシュートをGK山本がパンチングでセーブしたボールを左サイドで拾うと、寄せてきたDFよりも一瞬早く右足をコンパクトに振り抜く。強烈なミドルシュートがゴール左隅に突き刺さって、2度目の同点弾を叩き込んだ。

 試合は延長戦でも決着つかず、PK戦までもつれ込み、軍配は京産大に上がったが、この試合の松永は攻守に渡ってハイパフォーマンスを見せた。前線からの激しいプレスに加え、裏への抜け出しとシュートセンスをいかんなく発揮した。

 それ以上に驚かされたのが、ボールを持ったら上半身を左右に揺らしながら、なめらかなボールタッチとボディバランスとアジリティを駆使して、相手の逆を取るドリブルだ。

 高校は静岡学園。これだけを見れば、「さすが静学の選手」と思うかもしれない。だが、松永は"静学らしくない選手"であった。
 
 高校時代はトップ下の位置から直線的に湧き出てくるアタックを武器にしていた。だが当時の最前線にはエースストライカーの持山匡佑(中央大)がいた関係もあり、松永はインターハイでメンバー外も経験している。

 この悔しい経験をバネに成長を遂げると、プリンスリーグ東海ではセカンドストライカーとして8ゴールをマーク。選手権の予選前に持山が負傷離脱したことで、1トップに抜擢されると、そこでも持ち前の決定力を発揮して選手権出場に貢献した。

 さらにプレミアリーグ参入プレーオフでゴールを決めて、悲願のプレミア昇格の立役者の1人となり、高校最後の選手権では復帰した持山からレギュラーを奪う形で1トップとして躍動し、ベスト8を経験した。

 古川陽介(磐田)、玄理吾(徳島)など「これぞ静学」という技巧派が多い代だったからこそ、ドリブルというより前への推進力と決定力を前面に出す松永は「静学らしくない」という風に映った。

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