「自分は怖い存在? 脅威になっている?」悩み抜いた明治大MF熊取谷一星が出した答え「プレーがどんどん整理された」

2023年12月12日 安藤隆人

果敢な突破で2つのPKを獲得

関西学院大戦は5発大勝。熊取谷は4ゴールに絡む大活躍だった。写真:安藤隆人

 インカレ優勝候補の明治大が難敵を撃破し、初戦突破を飾った。

 相手は今年度の総理大臣杯準優勝の関西学院大。2回戦屈指の好カードとなったこの一戦で、明治大は前半だけで5点を叩き出し、後半は関西学院大の猛攻に遭うも、5-3で勝利した。

 先手必勝と言わんばかりの前半の猛ラッシュ。その中心にいて、4ゴールに絡んでみせたのが、3年生MF熊取谷一星だ。

 3-4-1-2のトップ下に入った熊取谷は、開始2分に「最初は突破から仕掛けようと思っていた」と、ドリブルでペナルティエリア内に侵入すると、相手のファールを誘ってPKを獲得した。

「太田さんに一昨日くらい前に『お前がPKを取る夢を見たんだ。だからもしPKを取ったら俺に蹴らせてくれ』と言われたんです。そうしたら実際にそうなったので譲りました」と笑い、キッカーは4年生FW太田龍之介に譲ったが、熊取谷のドリブルがゴールラッシュの口火を切った。

 8分、左サイドでボールを受けた熊取谷は、「栗田(大輔)監督から常に『奥を見ろ』と言われていたし、ウッチー(DF内田陽介)からも『俺を見てくれ』と練習から言われていたので、顔を上げたら、ウッチーが完全にフリーだった」とファーサイドのスペースで待ち構えていた内田に向かって、左足でドライブ回転のクロスを送り込んだ。
 
「ボールに『直接決めてくれ』というメッセージを込めて蹴りました」

 クロスは内田の頭にピンポイントで届き、狙い通りにヘッドでのゴールをお膳立てした。

 熊取谷の勢いはまだ止まらない。14分にはFW中村草太に縦パスが入った瞬間、「追い越して一気に仕掛けようと思った」と全速力で中村の右のスペースに走り込むと、ダイレクトの落としを鮮やかなファーストタッチで持ち出して、ペナルティエリア内へ。

 完全にGKと1対1になったところを背後から倒されて再び、PKを獲得。今度もキッカーは太田に譲ったが、「多分、自分でも決められると思った」とゾーンに入った熊取谷は、20分後に有言実行をする。

 34分、ボランチの木内達也がボールを持った瞬間に「相手のボランチとディフェンスラインの状況がよく見えた」と、ボランチ脇とCBとSBの間のスペースが空いていたのを見逃さずに、中央から斜めの動きで飛び出した。

 木内からのパスを追いかけてきたDF2枚をいなすかのように右アウトサイドでコントロールすると、そのまま右足を一閃。力強い一撃をぶち込んだ。

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