［天皇杯決勝］川崎 ０(8PK7)０ 柏／12月９日／国立競技場

　12月９日に国立競技場で行なわれた川崎と柏の天皇杯決勝は、延長戦を経ても両者、ゴールを奪えずにPK戦へ。守護神チョン・ソンリョンの活躍もあって川崎が２度目の大会制覇を果たした。

　試合後、最も印象的だったのは川崎の鬼木達監督と脇坂泰斗がベンチ前で熱い抱擁をかわし、涙を流していた姿だ。

　世代交代の真っ只中にいる今季の川崎は"育成"と"結果"の両立を目指してきたが、リーグ戦では苦戦。悔しい想いを何度となくしてきた。

　クラブ伝統の14番を継いで２年目の脇坂も一時期はベンチ外も経験するなど、もがき、苦しみ、それでも壁を越え、シーズン後半戦には躍動。３年連続となるベストイレブンを獲得する活躍ぶりを見せていた。

　一方で鬼木監督もリーグ戦で思うよう結果を残せない状況に忸怩たる想いを抱えながら、脇坂らの成長を見守ってきった。

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　その状況で勝ち取ったトロフィーの価値は非常に高く、ふたりが喜びを分かち合うように抱擁した際には、脇坂は鬼木監督から言葉をかけられたという。

「言葉をかけていただいたことで、涙が耐えきれなくて...。

　監督と選手という立場ですが一緒に苦しい想いをしたと言いますか...。オニさんにとっても苦しい１年だったと思いますし、それを言葉からも感じました。

　そのなかでかけてもらったのは『１年間本当によくやったな』ということですかね。自分の背負っているものを評価して言葉にしてくれたのが、本当に嬉しくて。

　言葉にならない感情というか、そこで崩れてしまいました。号泣しちゃいましたね」

　苦しいシーズンであったこそ、労われた言葉に脇坂は救われた想いだったのだろう。まさに感動的なシーンであった。

取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）

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