「キレは格段に良くなっている。だが...」“全得点関与”の三笘薫は完全復活したのか? ブライトン番記者が見解【現地発】

2023年12月09日 リッチー・ミルズ

この日の彼を完全に沈黙させることはできなかった

ブレントフォード戦で2ゴールに関与した三笘。(C)Getty Images

 去る11月6日のナイトゲーム。寒空の中で行われたこの試合で、ブライトンはホームにブレントフォードを迎え、2-1と退けた。アカデミー出身のティーンエイジャー、ジャック・ヒンシェルウッドが決勝点を決め、スタジアムは大きく沸いた。

 先制したのはビーズ(ブレントフォードの愛称)だった。25分、素早いカウンターからヴィタリー・ヤネルトがドリブルでペナルティーエリア内に侵入する。すると、ブライトンのセンターバック、ヤン・ポール・ファン・ヘッケが背後から手をかけてPKを与えてしまう。これを同27分にブライアン・ムベウモが冷静に沈めて先制点を献上したのである。

 だがシーガルズ(ブライトンの愛称)がリードを許した時間はわずか4分間だった。31分にはパスカル・グロスの豪快な一発で同点ゴールを決め、18歳のヒンシェルウッドのヘディングで決勝弾を奪った。

 好調な出だしをした今季のブライトンだったが、10月以降のリーグ戦ではあまり勝ち星に恵まれていなかった。しかしながら、先月25日のノッティンガム・フォレスト戦に続く勝利で、直近の9戦で2勝目を挙げた。

 ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるチームは勝点を25と伸ばして8位をキープ。念願とする来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得のためにはこのミニスランプから抜け出すことが絶対不可欠だっただけに、大きな勝利となった。

 この試合のブライトンイレブンにはやる気がみなぎっていた。その中心的な存在が三笘薫で、幾度にもわたってボールが預けられたのは偶然ではない。

 
 試合開始直後から、ボールを受けた三笘がブレントフォードのディフェンダーをかわす姿が見られた。4分、中央でボールを受けた三笘が20メートル程度ドリブルで前進し、サイドを上がってきたブオナノッテへタイミングよくパスを出す。惜しくも長くなり、決定機にはならなかった。

 直後にも再びブレントフォードの右サイドバック、ロエルスレフ・ラスムセンを置き去りにして素早くラストパスを前線に送ったが、カバーリングに入った敵のディフェンダーにカットされてしまう。

 最近では、対戦するプレミアリーグのチームが三笘への対応でDFを2枚使うことが当たり前になってきたが、それはこの日本代表のコンディションが悪かろうが変わることはない。それほど敵は脅威を感じているのである。

 もちろんそれにより、三笘の攻撃の幅が減少するのは確実なのだが、クレバーなプレーを得意とするこの男であれば、その状況を利用してチームメイトのゴールを演出することも可能にする。ブレントフォード戦でのグロスのゴールは、それが具現化された形である。

 ビーズはラムスセンとプラス1と言う形で、時にはフランク・オニェカやイェホル・ヤルモリュク、もしくはセンターバックの一人がカバーリングに回って三笘を止めに来た。しかし、この日の彼を完全に沈黙させることはできなかった。
 

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