「5年間実験を繰り返している」ドイツ代表はスターのアンサンブルを夢見ている場合ではない【現地発】

2023年12月08日 中野吉之伴

2023年の国際Aマッチで11戦6敗

11月のトルコ戦で2-3、オーストリア戦で0-2の敗戦を喫したドイツ。(C)Getty Images

 2023年のドイツ代表は散々だった。カタール・ワールドカップからの巻き返しを誓ったはずだが、やる試合、やる試合で負けてしまう。消化試合数が増えたところで、積み上げが感じられない。11試合で6敗(3勝2分け)。無失点試合は3月のペルー戦だけ(2-0で勝利)。

 ハンジ・フリック解任後に、ルディ・フェラーが暫定で指揮を取り、フランスに2-1で勝利した9月の試合はなんだったのか。10月の米国遠征でアメリカを3-1で破り、メキシコと2-2で引き分けた経験はどこにいったのか。

「選手はいるが……」

 フリックも、ナーゲルスマンもそうしたニュアンスの言葉を残した。一方で、「選手のメンタリティが、心構えが、感情移入が」という嘆き節も口にする。

 だれの目にも明らかな最重要テーマは守備の安定で、真新しい問題でもない。かれこれ5年以上、ずっと付きまとっている。他国がプレー精度をどんどん高めているのに、ドイツは5年間ずっと実験を繰り返し続けているようなものだ。監督はそのことを否定するが。
【動画】完敗に終わったオーストリア戦のハイライト
 ドイツのテレビ局『ARD』リポーターのブルクハルト・フーペは0-2で完敗したオーストリア戦後に、次のように指摘していた。

「5年間を無駄にした。いや、2014年の段階でサイドバックがいないというのは明確だった。結局、サイドバックの適任者がひとりも出てきていない。ヨズア・キミッヒを除いて。だが、キミッヒはサイドバックとして見られていない」

 14年のブラジル・ワールドカップでは当初ボランチで起用されていたフィリップ・ラームを右サイドバックに戻し、左サイドバックには本来CBのベネディクト・ヘーベデスが順応したことが優勝という結果につながった。だが、それ以降は……。

 サイドバックだけではなくボランチは? インサイドハーフは? サイドハーフは? いまのメンバー構成が本当に最適なのか?
 

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