ピッチを去る小野伸二。花道には浦和の選手たちも。粋な行動の舞台裏を岩尾が明かす「荒野選手には本当に感謝」

2023年12月04日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

「素晴らしい瞬間でした」

浦和の選手たちにも見送られる小野。試合後に岩尾は荒野(左端)の手引きがあったと明かした。写真:永島裕基

[J1第34節]札幌 0-2 浦和/12月3日/札幌ドーム

 浦和レッズは12月3日、J1第34節で北海道コンサドーレ札幌と敵地で対戦。58分にアレクサンダー・ショルツのPK弾で先制すると、72分には中島翔哉の加入後初ゴールも生まれ、2-0で勝利した。

 この一戦は、浦和に1998年から2001年、06年から07年にも在籍した元日本代表MF小野伸二(札幌)の現役ラストマッチだった。44歳の"天才"はスタメン出場し、22分間プレー。スパチョークと交代する際には、札幌のチームメイトに加え、浦和の選手たちも花道を作って送り出した。

 この感動的なシーンに、小野は驚きを持って感謝した。

「日本のサッカー文化のなかで、ああいう形で見送っていただけるシーンは、僕も見たことがないので。どういう形で、コンサドーレの選手たちがレッズの選手たちに声をかけてくれたのかは分かりませんけど、僕にとってもすごく幸せな瞬間でした」
【動画】「こんなに美しい場面があるだろうか」両チームの選手たちが小野伸二を見送る
 浦和の選手たちの粋な振る舞いは、事前に決められていたことなのか。試合後、報道陣から問われた浦和の岩尾憲は、これを否定。経緯を明かした。

「(小野が)20分間、出られるのも知らなかったです。札幌の選手が集まっていくのと同時に、荒野(拓磨)選手が『できれば、みんな来て』という感じの振る舞いをしてくれました。

 札幌の選手なので、僕たちとしては、自分たちから前に出て、何かするのも違うと思います。あのような良い手の引き方を僕らにしてくれたので、荒野選手に感謝しています」

 さらに岩尾は、「日本サッカー界の歴史を作ってきて、誰もが知るような偉大な選手ですから。その選手のピッチの最後に、一サッカー人として、ピッチの上で送り出せる瞬間も、そうないと思います。荒野選手には本当に感謝していますし、素晴らしい瞬間でした」と続けた。

 名手が最後のピッチを去る。浦和イレブンにとっても得難い体験となった。

取材・文●野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

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