なぜ東京Vは攻めあぐねても5バックの清水を相手にロングボールを放り込まなかったか【J1昇格プレーオフ決勝】

2023年12月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

そこには指揮官の信念が…

最後まで繋ぐサッカーにこだわった東京V。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 東京VがJ1昇格を果たした清水戦は、城福監督の信念を示す試合でもあった。

 立ち上がりから苦しい展開を強いられた東京Vは後半に入ってもそこまでリズムを掴めず、63分にチアゴ・サンタナのPKで失点。相手が4-2-3-1から5-4-1とシステム変更したこともあり、強引にロングボールを蹴り込む可能性もあると、おそらくそう考えたファン・サポーターはいただろう。

 実際、74分にはFWの山田に代えて188センチの綱島を前目のポジションで起用した。綱島の高さを生かす攻撃を展開しても不思議はなかったか、東京Vがいわゆるパワープレーに移行することはなかった。

 なぜリードされて、相手がゴール前の守備を固めた状態、しかも攻めあぐねていても、ロングボールを放り込まなかったのか。城福監督は試合後、こんなことを言っていた。
 
「ラスト1分になれば、もちろんパワープレーを選択します。ただ、それは我々らしくないんです。我々は辛抱強く幅を使ってボールを回しながらペナの中に入っていく。これを繰り返して、今季(J2で)勝点75を獲ったので、そういうメンバーを最後選んでピッチに送り出しましたし、中盤で戦うところ、しっかり我々がボールを回しながら入っていくところをやり抜いたことで最後PKを得られたと思っています」

 やり方を変えないことが大事、その場凌ぎのサッカーで勝点を積み上げてもJ1では通用しない。そんな城福監督の信念が見えた。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

「全てにおいて天才」小野伸二の"ゴール、アシスト、トラップ、パス総まとめ"にファン感銘!「才能が違いすぎる」「子どもたちに夢を与える」

「ヴェルディさん、エスパルスさん、ジュビロさん、町田さん、そういうチームに対しては…」千葉の小林監督が示す"J1復帰へのポイント"

【PHOTO】編集部が厳選! ゲームを彩るJクラブ"美女チアリーダー"を一挙紹介!
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事