なぜ鹿島は柴崎岳を求めたのか。チームの矢印を明確にできる存在。「満男さんじゃないけど...」強力なリーダーシップに指揮官も期待

2023年12月01日 河治良幸

左足ハムストリング負傷。全治8週間

今夏に古巣の鹿島に復帰した柴崎。“常勝軍団”復活のラストピースとしてかかる期待は大きい。写真:鈴木颯太朗

 岩政大樹監督が初めてフルでシーズンを率いた2023年、鹿島アントラーズはまたしても無冠に終わってしまった。理由を探せば色々と考えられる。ただ、終盤戦で1つ残念だったのは、夏に加入した柴崎岳の怪我だ。

 2016シーズン以来の復帰となった柴崎は、「日本でプレーする時はまたアントラーズで、と思っていました」とコメントしていた。9月4日からチームに合流してからの変化を、岩政監督は「ガクが帰ってきて、1か月ぐらい、あいつが怪我するまでのチームの雰囲気は全然違いました」と振り返る。

「何も言わなくても、ガクがそこでしっかりプレーしていることで、選手の取り組む姿勢が全然違う。彼が怪我した後、空気がまた変わってきて...コーチングスタッフが、いくらちゃんとやらなきゃいけないよと説いたって伝わらないものが、一人の存在で変わってくる。それがこの世界なので」

 柴崎がまだレガネスに所属していた昨年末、スペインまで行っていたという岩政監督は「何度も会って話して。あいつは向こうに残りたい気持ちもありつつ、(鹿島に)戻る決断をしてくれて。願わくばシーズン頭からいてくれたら、助かっただろうなというのはありますけど」と振り返る。
 
 実際の加入は夏だったが、柴崎の効果が目に見えるほど明らかだったのは、1-0で勝利した9月16日のセレッソ大阪戦でも伝わるものがあった。

「彼のパスとか技術は当然そうだけど、姿勢がやっぱり、優勝するための日常を作り出す彼の人間性というか。男としての仕事ぶりが一番の良さだと思っているので。鹿島復活の重要なピースになると思いました」

 横浜F・マリノス戦も1-2で競り負けはしたものの、前回王者と接戦に持ち込めたのは、中盤でゲームコントロールを担った柴崎の貢献が大きい。しかし、彼を欠いたアビスパ福岡戦は0-0のドロー、続く神戸戦で0-2とリードされたところから逆転の望みをかけて投入されたが、そこで左足のハムストリングを負傷。全治8週間の診断となり、残りシーズンの欠場が確定してしまった。

【PHOTO】国立に集結し選手たちを鼓舞し続けた鹿島アントラーズサポーター

次ページJ1王者が醸成する空気感

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事