「チームメイトが何を言っているか分からない」「最初は本当にボールが来ない」宮澤ひなたが明かした“マンチェスターでの苦悩”

2023年11月30日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

「W杯得点王」というプレッシャー

マンチェスターで飛躍へのきっかけを掴みつつある宮澤。写真:サッカーダイジェスト

 11月30日にサンパウロでブラジル女子代表と国際親善試合を戦うなでしこジャパンの宮澤ひなたが同29日、オンライン会見に対応。新天地のマンチェスター・ユナイテッド(今年9月に移籍)での苦労を明かした。

 なでしこジャパンでは4-3-3システムの左ウイング、3-4-2-1のインサイドハーフを任されるが、マンチェスター・Uでは例えば直近のブリストル・シティ戦では4-2-3-1のボランチを担った。役割の違いについて、本人は次のように話していた。

「ようやく慣れてきて、コンスタントに試合に出られるようなった感覚があります。ただ、代表で求められている役割とクラブで求められている仕事が少し違います。ポジションが少し下がり目で、バランスじゃないですけど、ビルドアップに関わる時間が多いと(マンチェスター・U)では感じます。

その中で自分の良さを出さないといけない。その意味で、ブリストル・シティ戦で得点を取れてやっと一歩前進できたなと」

 自身初の海外生活、最初はやはり戸惑いのほうが大きかったようだ。

「チームメイトが何を言っているか分からない。でも、その中でもやっていかないといけない。最初は本当にボールが来ないんです。欲しいタイミングで目が合わない。そういうのがすごくあって、でも自分を表現するには呼び続けないといけない。『ボールが欲しい、このスペースでもいいから出してくれ』って」

 通訳をつけていたが、当然ながらピッチ内では「自分で何かを言わないとチームメイトに伝わらない」。そうした苦悩を抱えながら、宮澤は戦っていた。

「試合中に通訳を頼っても自分のためにならないし、結局、ピッチ内では単語やジェスチャーでアピールしないといけない。『今、このタイミングで見てほしい』と伝え続けて、実際、コーチにも映像を見せながら『このタイミングで動いているんだけど』っていう話をしたりとか、自分を見てもらうための作業が難しかった」
 
 チームの戦い方、他の選手の特徴を把握しつつ、自らの個を発揮しないと生き残れない。だから、「今でも言い続けて、やり続けている」。

 その成果として、「最近はスタートから使ってもらえる機会が増えて、チームメイトとコミュニケーションが取りやすくなった」。女子ワールドカップの得点王という看板が「感じていないようで感じているプレッシャーになっていて」、その重圧を少し減らす意味でもブリストル・シティ戦での移籍後初ゴールは大きかった。

 先のブリストル・シティ戦でも大きなジェスチャーで味方にパスを要求する宮澤の姿があった。チームメイトとの連係はまだ完璧ではないだろう。ただ、海外挑戦はまだ始まったばかり。ブリストル・シティ戦のゴールを飛躍のきっかけにしたい。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

【PHOTO】日本代表を応援する麗しき「美女サポーター」たちを一挙紹介!

「ものすごく読めない」アウェーの北朝鮮戦が「必ずストレスになる。だから...」。W杯アジア2次予選で開幕2連勝した価値

「イタリア代表のブッフォン、ドイツ代表のノイアーみたいになれれば」熟練記者も称賛の21歳の逸材。最大のライバルは37歳のベテラン?
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事