「3年間、なぜ興味を示しているのかをタケに伝え続けた」どのように久保獲得に至ったのか。ソシエダSDが明かす“補強の流儀”【インタビュー1】

2023年11月30日 ミケル・レカルデ

「うちのスタッフは、世界のフットボールの動向を追っている」

極めて稀なインタビューに応じてくれたオラべSD。(C)Noticias de Gipuzkoa

 レアル・ソシエダのロベルト・オラベが極めて稀な独占インタビューに応じ、タケ・クボ(久保建英)との契約に至った舞台裏を明かすと同時に、今後も長くアノエタに留まる可能性に自信を示した。

 ロベルト・オラベは、イマノル・アルグアシル監督と並ぶ、レアル・ソシエダ躍進の最大の功労者だ。スポーツディレクターというポストが責任ある立場を物語る通り、ホキン・アペリバイ会長が再建プロジェクトを立ち上げる際に、スポーツプランの鍵を託したのがオラベだった。

 そのミッションは、毎シーズン、上位争いに顔を出せるだけの戦力を整えること、優秀な選手を獲得してその拡充を図ること、カンテラ上がりの選手を登用して主力に育てること、そして欧州フットボール界に到来しつつある変革の時代に備えてソシエダをビッグクラブと張り合えるだけのポジションにつけることだった。

 いずれも簡単なミッションではなかったが、オラベはそのすべてを成し遂げた。その際に発揮したのが、時代の一歩先を行く先見性だ。加えてその仰々しい語り口は、インタビュアーとしても興味深い人物である。しかし、彼がメディナに対応するのは、例外を除けば、年に数回の記者会見をする程度で、地元メディアのインタビューにほとんど応じることがない。

【動画】スペイン紙も絶賛!3人に囲まれながら、先制点の起点となった久保のパス
 しかし、今回、その掟を破り、『サッカーダイジェストWeb』のインタビューを受けてくれた。ソシエダは、タケを起爆剤に、日本市場への展開を図っている真っ只中だが、日本人ファンに生の声を届けたいという意識も働いたのだろう、オラベは一つひとつの質問に対し、丁寧に答えてくれた。多岐に渡ったそのインタビューを4回に分けて紹介しよう。

 ソシエダは2022年夏にタケを獲得した。しかし調査を開始したのは、随分前からで、オラベはこの中長期的視点に立ったアプローチが、ソシエダの特徴であると語る。

「昨日、ちょうどコミュニケーション部のスタッフと、我々がいかに時間をかけて物事に取り組んでいるかということを話したばかりだ。うちのスタッフは、世界のフットボールの動向を追っている。ラ・レアルは、即効性を重視する考え方とは相容れない。ここには発展途上のものを見ることに心地の良さを感じる土壌がある。それはスカウティングにおいても同様だ。ある若い選手を追っているときでも、まだ我々のタイミングではないかもしれないという感覚は常にある。

 マーティン・ウーデゴー(現アーセナル)、アレクサンデル・イサク(現ニューカッスル)、テオ・エルナンデズ(現ミラン)いずれもそうだった。我々が彼らの調査を開始したのは、獲得したときではない。彼らを知ったときだ。その時の彼らは、特定のコンテクストにおいて、クオリティを発揮していた。まだラ・レアルでプレーする準備ができていなかったかもしれない。あるいは我々にとって高嶺の花だったのかもしれない。だが、ラ・レアルというクラブの存在を知ってもらう上では、そうした早い段階でのアプローチがカギになる。我々は、同じ交渉のテーブルに着いて、ビッグクラブと対等に競うことはできない」
 

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