GKを代える余裕があるなら...“最後の交代枠”で起用してほしかった日本代表戦士

2023年11月17日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

短時間だけミャンマー戦に出るのは可能だったはず

森保監督が最後に投入したのはGKの前川だった。写真:梅月智史(サッカーダイジェスト写真部)

 日本代表を率いる森保一監督は、たとえフレンドリーマッチであっても勝負にこだわる。

 例えば、9月のトルコ戦で、3-0から3-2に追い上げられた際、ベンチスタ―トだった三笘薫を投入する準備をさせていた。

 ただ、いよいよ送り出そうとしたその時に、伊東純也がPKを獲得。これを自ら決めて4-2になったため、ブライトンのアタッカーの交代を取りやめた。勝敗にこだわっていなければ、ほぼ使うつもりがなかった三笘を準備させる必要はない。

 言うまでもなく、公式戦であれば尚更だ。北中米ワールドカップ・アジア2次予選の初戦となった11月16日のミャンマー戦でもそうだった。

 ミャンマーより手強い21日のシリア戦(サウジアラビアで開催のアウェーゲーム)に向けて、伊東純也、久保建英、遠藤航、守田英正(67分から途中出場)、冨安健洋、菅原由勢ら主力をごっそり温存したのだ。

 正直、ここまでミャンマー戦とシリア戦のメンバーをくっきり分けるとは思っていなかった。交代策も、佐野海舟、渡辺剛、細谷真大と追加招集組を送り込み、主力を休息させている。

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 驚きだったのは81分だ。最後となる5人目の交代枠で、GKを大迫敬介から前川黛也にスイッチしたのだ。後者はこれが代表デビューとなった。

 相手がシュートゼロで、ほとんどボールを支配しているなか、GKを交代させるのはほとんど意味がない。メリットは「雰囲気や緊張感を味わえる」ぐらいか。実際、前川は一度もボールに触れていない。

 ある意味で、勝負にこだわる森保監督らしからぬ采配と言ってもいいかもしれない。その余裕があるのであれば、使ってほしかった選手がいる。伊東だ。

 キックオフ前のスタメン発表の時には、控えにもかかわらず、久保と同じく大歓声を浴びていたスピードスターは、日本代表でのコンスタントな活躍も相まって人気が高い。「ファンが見たい選手」のひとりだ。

 そのうえ、練習を見ても疲れを感じさせずに状態が良かった。短い時間だけミャンマー戦に出て、シリア戦に先発するのは可能だったはずだ。

 そのシリア戦はまだテレビ放送が決定していない。この状況のままなら、日本のお茶の間で伊東や久保、冨安らのプレーが見られない。であれば、せめて5分でも伊東をピッチに立たせて欲しかった。

 試合後の取材エリアに響き渡ったのは、チームバスに乗り込む伊東に対する、「ジュンヤー」という大声援だった。

取材・文●江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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