東京Vとのホーム最終戦で“走れない、闘えない”を象徴していたシーンが…。大宮はより貪欲に勝利を目指すべきだった【コラム】

2023年11月13日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

とりわけ印象的だった横断幕

異様な雰囲気に包まれた最終戦セレモニー。写真:J .LEAGUE

 2023年11月12日、大宮駅からNACK5スタジアム大宮へ向かう道中、オレンジ色のユニホームやシャツを着ているファン・サポーターを多く見かけた。この日のホーム最終戦を前に今季J2で21位が確定しているのに、なんて熱量なんだと素直に思った。

 スタジアムまでの風景は趣があって、NACK5スタジアム大宮もサッカー専用スタジアムとして最高の雰囲気を醸し出す。「サッカー観戦するならNACKで!」と自信を持ってお勧めしたいが、そのピッチで繰り広げられた大宮アルディージャのパフォーマンスには失望した。

 相手がJ1昇格を争う東京Vということもあってチケットは完売。正直、もう順位は決まったし、空席も目立つ試合になるかなと勝手に想像していたが、スタジアムは素晴らしい熱気に包まれていた。だからこそ、この日の大宮アルディージャのパフォーマンスが残念でならなかった。

 前半は良いゲームをした印象だ。タイトな守備でピンチの芽を摘み、カウンターからあわやゴールかというチャンスも作った。しかし、後半に入って中盤でのボールロストから先制されると、トーンダウン。追いつくどころか、終盤に突き放されて0-2と完封負けを喫した。

 気になったのは、大宮の選手たちの見切りの早さ。ラインを割りそうなボールにも食らいつく東京Vの選手と比べると、諦めてしまう回数が多いように見えたのだ。
 
 象徴的なのが90+2分のシーン。大宮の石川がゴール正面付近から放ったシュートを東京Vの森田がブロックする。そのこぼれ球にいち早く反応して最終的に回収したのが森田なのだ。タッチラインに向かって転がるボールを追いかける森田、その姿をほぼ見ているだけの石川。この違いが、結局は勝敗を分ける要因だったのではないか。

 試合後の最終戦セレモニーが始まると、NACK5スタジアム大宮は大ブーイングに包まれる。クラブへの要求などを示した横断幕の中でもとりわけ印象的だったのが「走れない闘えない努力もしない口先だけは立派な史上最低イレブン」のそれだ。

 走れない、闘えない。前述した後半アディショナルタイムの場面が物語るとおり、そう指摘されても仕方ない部分はある。

 スタジアムを埋め尽くしてくれたファン・サポーターのためにも、大宮アルディージャの選手たちはより貪欲に勝利を目指すべきだった。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

「走れない闘えない努力もしない口先だけは立派な史上最低イレブン」刺激的な横断幕と大ブーイング。異様な雰囲気に包まれた大宮アルディージャの最終戦セレモニー

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