【大宮】塩田仁史インタビュー|「持っている」ベテランGKの達観と葛藤(前編)

2016年02月26日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「サッカー選手は、常に誰しもが『俺が一番だ』と思っているはず」

昨季、試合に出ることにこだわって大宮に移籍。リーグ戦5試合出場は不本意だが、「1年でJ1に復帰させる」最大のミッションクリアにピッチ内外で大きく貢献した。写真提供:大宮アルディージャ

 目前に迫った開幕戦に、強い思い入れを持って臨む選手がいる。昨季のJ2で優勝し、1年でJ1復帰を果たした大宮に所属する塩田仁史だ。対戦相手は古巣のFC東京、しかも舞台は慣れ親しんだ味の素スタジアム。これで燃えないはずがない。
 
 なにかに引き寄せられるように迎える当日へ向けて、どんな心境で過ごしているのか。昨シーズンを振り返りながら、ピッチ内外で感じたこと、「持っている」の意味、今も心の奥底にある葛藤を前編・後編に分けて紹介する。(編集部・注/インタビューは2月25日に実施)
 
――◆――◆――
 
――まずは昨季のことを訊かせてください。自身の出来に満足はしているのでしょうか?
 
 ゲームに出ることにこだわって大宮に移籍してきたので、リーグ戦で5試合にしか出場できなかったのは不本意です。ただ同時に、目指していた「大宮を強くする」、「1年でJ1に復帰させる」という部分では、クラブにいろいろと関わりながらできた。だから、良いと悪いが半々です。プレー時間自体は少なかったですけど、チームが目標にする最大のミッションはクリアできました。
 
――年齢やキャリアを考えれば、試合に出られなくともチームを支えなければならない難しい立場だったと思います。葛藤もあったのでは?
 
 プロ生活を初めて今年で13年目になります。FC東京時代は土肥(洋一)さんや権田(修一)ら代表選手と常にひとつの椅子を争いました。大宮でも、ノブ(加藤順大)や他のGK陣と切磋琢磨しながら日々を過ごしています。そのなかで試合に出られない日々があって、悔しさも味わいました。
 
 サッカー選手というのは、常に誰しもが「俺が一番だ」と思っているはずです。ただ、現実はいつも上手くいくわけではありません。置かれている状況と向き合って、気持ちをコントロールしながら、日々のトレーニングやパフォーマンスにつなげていく。それは難しいことですけど、噛み砕いて、ポジティブな姿勢を持ちながらやれていると思います。

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